2015.10.29
 

 

第44回日本男子ソフトボール西日本リーグ第4節

平林金属が3年ぶりの西日本リーグ制覇!




平林金属、3年ぶりの西日本リーグチャンピオンに輝く!



準優勝は通算11勝5敗のダイワアクト
最終節を3連勝で駆け抜け、常勝チームの意地を見せた



初優勝が期待された愛媛ウエストは
勝負のかかった最終節で1勝2敗と振るわず、3位


4位は通算9勝7敗の旭化成
最終日、高知パシフィックウェーブとの大一番に
5−1で快勝し、決勝トーナメント進出を決めた


高知パシフィックウェーブは通算8勝8敗の5位で終戦
4年連続で決勝トーナメント進出を逃す結果に……


Neo長崎は今節「エース」森勇紀が絶不調
1勝3敗と負け越し、6位でシーズンを終えた


昨年の覇者・大阪桃次郎は今シーズン7位と低迷……
西日本リーグ3連覇はおろか、決勝トーナメント進出も逃すことに


通算5勝11敗で8位となったオール福岡
「投打のバランス」が整えば、上位進出も夢ではない


ジェイテクトは通算3勝13敗と苦しみ、9位
「チームの改革」を図らなければ、来年も戦いは厳しい



第44回日本男子西日本リーグ第4節/大阪府大阪市

 第44回日本男子ソフトボール西日本リーグ第4節(最終節)が、去る10月24日(土)・25日(日)の両日、大阪府大阪市・舞洲運動広場において開催された。

 最終節となった今節は、第3節終了時点で同率首位(通算成績9勝4敗)に並んでいた平林金属、愛媛ウエストの内、平林金属が無傷の3連勝。通算成績を12勝4敗まで伸ばし、3年ぶりの「西日本リーグ制覇」を果たした。

 平林金属は、初日、まずジェイテクトと対戦。木谷謙吾、平本拓朗のタイムリーなどで着実に得点を重ね、7−0で圧勝すると、続く大阪桃次郎戦も松田光、小見山敦吏、平本拓朗の3本のホームランを含む14安打の猛攻で14−2の5回コールド勝ち。2日目、愛媛ウエストとの最終戦でもその「勢い」は衰えることなく、太田元貴(この試合3打点を挙げる活躍)、平本拓朗、木谷謙吾のタイムリーなど「常に先手を取る試合展開」で6−2と快勝。最終節では、先日開催された全日本総合選手権での準決勝敗退、また、国体での初戦敗退の悔しさを一気にぶつけるかのような「気迫溢れる戦い」を繰り広げ、無傷の3連勝。通算12勝4敗の成績で混戦が続いた優勝争いを制し、3年ぶりの「王座奪還」を果たした。
 エース・松田光が今夏の世界選手権(カナダ・サスカツーン)で「世界の壁」を痛感。その影響からか、後半戦では投打に試行錯誤する場面も垣間見え、持ち前の「勢い」「爆発力」を感じることができなかったが、それを「選手層の厚さ」「チーム力」でしっかりとカバー。松田光、木谷謙吾、平本拓朗、西山幸助らの現役日本代表だけでなく、キャプテンとしてチームを引っ張る「主砲」小見山敦吏、また、今年埼玉県庁クラブより移籍してきた「リードオフマン」祝弘樹といったところもコンスタントに活躍し、シーズンを通して「抜群の存在感」を示した。「情熱溢れる指揮官」吉村啓監督のもと、決勝トーナメントでもめざすところは「頂点」、ただ一つ。「チーム一丸」3年ぶりの日本リーグチャンピオンを狙う。

 準優勝はダイワアクト。第3節終了時点では平林金属、愛媛ウエストに続き、通算8勝5敗で3位につけていたが、平林金属と同じくこの最終節を無傷の3連勝で駆け抜け、愛媛ウエストを逆転した。ダイワアクトは、初日のオール福岡戦に「投打の大黒柱」アンドリュー・カークパトリックのソロホームランで先手を取ると、その後同点に追いつかれ、1−1のまま迎えた6回裏、田中亮多の犠牲フライと永原健のタイムリーで2点を勝ち越し、3−1で勝利。2日目も、まずNeo長崎戦に白水啓太、ニコラス・ノートンのタイムリー、古川恵士のツーランホームランでリードを広げ、4−0で快勝。最終戦となったジェイテクトとの対戦にも、古川恵士、アンドリュー・カークパトリックのソロホームランを含む14安打の猛攻で9−3と打ち勝ち、3連勝を飾り、通算成績11勝5敗。平林金属には勝ち星一つ差で及ばなかったものの、最終的に2位へと順位を上げ、「常勝チーム」の「意地」を見せた。
 黄金時代を築いた頃(2010年・2011年と西日本リーグを連覇。決勝トーナメントも2010年・2011年・2013年と3度にわたって制し、日本リーグチャンピオンの座へと登り詰めた実績がある)に比べて、選手層の厚さという部分では若干見劣りしてしまうが、何といっても「世界bPサウスポー」アンドリュー・カークパトリックの存在が大きい。昨年は西日本リーグ7位(通算成績5勝11敗)と低迷し、決勝トーナメント進出を逃してしまっているだけに、今年にかける思いは強いはず……。「投打の大黒柱」が、決勝トーナメントの舞台で再び「世界トップレベルの実力」を見せつけるのか!?注目が集まる。

 3位は愛媛ウエスト。初日の旭化成戦ではいきなり先手を奪い、「エンジン全開!」と思われたが、頼みのエース・客野卓也が旭化成打線につかまり、6失点。この試合を3−6で落とし、優勝争いから一歩後退すると、2日目、平林金属との直接対決でも、今度は先発・齋藤将平が平林金属打線にとらえられ、同じく6失点。結局2−6の完敗で「痛い連敗」を喫し、期待された「初優勝」を成し遂げることはできなかった。最終戦となった高知パシフィックウェーブ戦は、1−1のまま延長タイブレーカーへと入り、迎えた8回裏、一死一・三塁から前田征那のセカンドへの内野安打で2−1とサヨナラ勝ち。勝負をかけた最終節で1勝2敗と負け越す形になってしまったが、最後は「自力」で3位(通算成績10勝6敗)の座をつかみ取り、2年連続の決勝トーナメント進出を決めた。
 昨年の決勝トーナメントでは、デンソー、豊田自動織機を撃破し、堂々のファイナル進出。ファイナル・ホンダエンジニアリング戦は2−8と完敗を喫したものの、準優勝という好成績を残した。打線は、キャプテンであり「主砲」の菅野達也をはじめ、「元日本代表」のベテラン・石村寛も健在。この他にも、「切り込み隊長」前田直哉、「勝負強さ」が売りの遠藤大輔など、実力者が揃う。勝利のカギを握るのは、やはり投手陣。エース・客野卓也一人にどうしても負担がかかってしまうのが現状だが、毎試合どこまで失点を抑えることができるかがポイントになる。この最終節で味わった悔しさを、ぜひ決勝トーナメントの戦いにぶつけてもらいたい。

 4位に入ったのは旭化成。第3節終了時点で大阪桃次郎、高知パシフィックウェーブ、Neo長崎と同率(通算成績6勝6敗)に並び、熾烈な順位争いを続けていたが、この最終節で3勝1敗と勝ち越し、抜け出した。旭化成は初日、まず大阪桃次郎と対戦し、夏田陽平のソロ、小野昌康のツーランホームランなどでリードを広げ、8−4で打ち勝つと、続く愛媛ウエスト戦でも「好調な打線」が序盤から得点を重ね、6−3で勝利。「4位争い」は、同じくこの日連勝を飾り、通算成績を8勝6敗に伸ばした高知パシフィックウェーブとの一騎打ちの様相を呈した。2日目、その高知パシフィックウェーブとの直接対決では、2回裏に小野昌康、金丸祝一のタイムリーなど3安打を集中し、2点を先制。3回裏にも二死二塁から園田努のタイムリーで3点目を加え、試合の主導権を握ると、1点を返された後の6回裏には松岡真央のタイムリーツーベース、相手守備の乱れでダメ押しの2点を追加。「大一番」に5−1で快勝し、この勝利で4位の座を確定させた。最終戦となったオール福岡戦は、エース・金丸昭太を温存し、寺原瑞希を先発に起用。オール福岡打線に11安打を浴び、4−11と大敗してしまったが、通算成績9勝7敗で昨年に続く決勝トーナメント進出を果たした。
 米良孝太、松岡真央、川田直諒といった「現役日本代表」を揃える強力打線は、やはり破壊力抜群。旭化成お馴染みの「打ち勝つ」スタイルで、決勝トーナメントでは悲願の日本リーグチャンピオンをめざす。エース・金丸昭太の緩急自在のピッチングがうまくハマり、失点を最小限に食い止めることができれば、「頂点」まで登り詰める可能性も十分にある。「あと一歩」の壁を打ち破るために、「最後の決戦」でどのような戦いを展開するのか……。見る者をアッと驚かすような試合を繰り広げてほしいものである。

 高知パシフィックウェーブは5位(通算成績8勝8敗)でシーズンを終了。旭化成と最終日まで「4位争い」を繰り広げたが、課題として挙げられる「大一番での脆さ」を露呈し、4年連続で決勝トーナメント進出を逃す結果に終わった。今節初戦となったNeo長崎戦では、立石壮平、片岡大洋、尾葺a登、岡本友章の4本のホームランを含む13安打の猛攻で10−0と圧勝。続くオール福岡戦にも、中西康太、尾葺a登、立石壮平の3本のホームランなどで11−1の5回コールド勝ちを収めたところまでは良かったのだが……。2日目、旭化成との決勝トーナメント進出をかけた「勝負の一戦」に、1−5であっけなく敗戦。最終戦となった愛媛ウエスト戦にも、延長タイブレーカーの末、1−2のサヨナラ負けを喫し、最後は「連敗」で今シーズンの戦いを終えることとなった。

 Neo長崎と大阪桃次郎はともに通算成績7勝9敗で並んだが、直接対決の勝敗により、Neo長崎の6位、大阪桃次郎の7位が決定。Neo長崎は、今節「エース」の森勇紀が絶不調。今年はじめて「日本代表」に選出され、世界選手権にも出場した右腕であるが、初戦となった高知パシフィックウェーブ戦で4本のホームランを含む13安打を浴びるなど、炎上。続くジェイテクト戦でも、3本のホームランを浴び、被安打15とまったくイイところがなく、連敗。第3節終了時点では通算6勝6敗と「4位滑り込み」の可能性を残していたのだが、その望みも早々と絶たれてしまった。

 大阪桃次郎は、初日、まず旭化成と対戦。この日、クリス・ケイフル、中島幸紀の二枚看板を欠くという「緊急事態」の中、中村健二を先発に立てて必勝を期したが、その中村健二が3回途中で肩の痛みを訴え、無念の降板。このアクシデントでチームは「投手不在」となってしまい、急遽、西川勝悟、筒井拓友、澤田優生ら投手経験のある選手が代役を務めたが、当然試合を作れるはずもなく、4−8で敗戦。続く平林金属戦も、登板した西川勝悟、澤田優生が3本のホームランを含む14安打の猛攻にさらされ、2−14の5回コールド負け。この初日の連敗によって、Neo長崎と同じく早々に決勝トーナメント進出の可能性を失ってしまった。2日目は中島幸紀が加わり、ジェイテクト戦に7−1で勝利。しかし、最終戦となったNeo長崎戦では、4−9と再び完敗を喫し、この最終節を1勝3敗と負け越す形でシーズンを終了……。大阪桃次郎は昨年の覇者であり、西日本リーグ3連覇を狙っていたチームであっただけに、この結末は非常に残念でならない。

 8位はオール福岡。今節を1勝2敗と負け越したが、今シーズン5勝をマークし、昨年の最下位から一つ順位を上げた。最下位脱出の要因となったのは、やはりベテラン・貞方直泰の加入。飛び抜けた速球や変化球のキレがあるわけではないが、登板すれば「大崩れしないピッチング」でしっかりと試合を作り、「失点を抑えれば、勝機は十分にある」ことを証明してくれた。何度も繰り返すようだが、打線には「元日本代表」のキャプテン・佐伯忠昭をはじめ、川原光、下戸成之、野中耕太郎ら能力の高い選手が揃っている。まずは「投打のバランス」をしっかりと整えること。そしてそこに、毎試合粘り強く、泥臭く戦う「勝利への執念」が芽生えてくれば、上位進出も決して夢ではない。

 最下位に終わったのはジェイテクト。今シーズンは、昨年までエースを務めた北添政樹が東日本リーグ・大阪グローバルへと移籍してしまい、当初から「苦しい戦い」が予想されていたが、この最終節でも1勝3敗と流れを変えることができず、通算成績3勝13敗でシーズンを終了。「チーム唯一の投手」秋山太一が全試合を投げ抜かなければならなかった……。一言でいえば、この厳しいチーム状態がそのまま結果となって表われたということになるのだが……。寂しいことに、最後まで「上位を狙う姿勢」や「何かを変えてやろう!」というような「具体的な取り組み」は見られなかった。日本リーグに所属しているということだけで、満足してはいけない。もう一度「チームの在り方」「上位を狙う術」を考え直し、来シーズンに向けた強化を図ってもらいたいものである。

 第44回日本男子ソフトボール西日本リーグの最終成績は下記の通りで、東西両リーグの上位4チームが出場し、今シーズンの「日本リーグチャンピオン」を決める決勝トーナメントは、11月14日(土)・15日(日)の両日、京都府京都市/わかさスタジアム京都において開催される。

第44回 日本男子ソフトボール西日本リーグ 最終成績
順位 チーム名
優勝 平林金属 12
準優勝 ダイワアクト 11
3位 愛媛ウエスト 10
4位 旭化成
5位 高知パシフィックウェーブ
6位 Neo長崎
7位 大阪桃次郎
8位 オール福岡 11
9位 ジェイテクト 13
※6位・7位は同率チームの直接対決の勝敗で順位を決定
※上位4チームは決勝トーナメントに進出


■決勝トーナメント組み合わせ