2014.11.5
 

 

第43回 日本男子ソフトボール西日本リーグ 第4節
大阪桃次郎が激しい優勝争いを制し、連覇達成!


大阪桃次郎が「実力通りの強さ」を見せつけ、連覇達成!

  通算成績で同率に並びながら、惜しくも2位に終わった平林金属
決勝トーナメントでは2年ぶりの「日本リーグチャンピオン」を狙う

  3位は通算11勝5敗の旭化成
国体優勝に続き、決勝トーナメントでも「頂点」を狙う

  4位は通算10勝6敗の愛媛ウエスト
2011年に日本リーグに参入して以来、初の決勝トーナメント進出!

  高知パシフィックウェーブは通算8勝8敗の5位
3年連続で決勝トーナメント進出を逃した



Neo長崎は通算7勝9敗の6位
全日本総合選手権を制したが、この西日本リーグでは「結果」を残せず……



昨年の「日本リーグチャンピオン」ダイワアクトは7位に低迷
最終節では「まさかの4連敗」に終わった……



ジェイテクトは昨年の成績を一つ下回り、8位
「来年こそは!」上位進出を果たしたい



今シーズン、最後まで「1勝」が遠かったオール福岡
勝利を挙げるためだけではなく、上位を狙えるチームをめざしてほしい!


第43回 日本男子西日本リーグ 第4節 広島県尾道市

 第43回日本男子ソフトボール西日本リーグの最終節となる第4節が、去る11月1日(土)〜3日(月・祝)の3日間(初日の第3試合以降が雨天のため中止・順延となり、予備日を使用して実施された)にわたり、広島県尾道市/御調ソフトボール球場において開催された。

 最終節では、前節終了時点で通算11勝1敗、単独首位を走る大阪桃次郎と、その首位・大阪桃次郎を通算10勝3敗、「勝ち星一つ差」で追いかける平林金属が最後まで激しい優勝争いを展開。決勝トーナメント進出(上位4位以内)をかけた争いもクライマックスを迎え、全9チームが熱戦を繰り広げた。結果は、大阪桃次郎が今節を2勝2敗で乗り切り、通算成績13勝3敗で「連覇」達成。今節無傷の3連勝を飾り、猛追した平林金属に最後は同率で並ばれる形となったものの、リーグ規定により当該チームの直接対決の勝敗で最終順位を決定。直接対決で2勝している大阪桃次郎が上回り、2年連続の西日本リーグ制覇を成し遂げた。

 また、決勝トーナメント進出(上位4位以内)を巡る争いは、大阪桃次郎との激しい優勝争いに敗れ、惜しくも2年ぶりの西日本リーグ制覇を逃した平林金属が2位。その平林金属と同じく、今節を3連勝で駆け抜けた旭化成が通算11勝5敗で3位となり、4位には今節2勝1敗と勝ち越し、通算成績を10勝6敗まで伸ばした愛媛ウエストが入った。

 前節終了時点で通算11勝1敗、単独首位を走る大阪桃次郎は、今節初戦でダイワアクトと対戦。2回裏に9番・西川勝悟の満塁ホームランを含む4安打を集中させ、一挙5点を先制すると、6回裏にも8番・藤川拓郎、1番・筒井拓友のタイムリー、2番・猪股要のツーランなどでダメ押しの6点を追加。「難敵」アンドリュー・カークパトリックの攻略に見事成功し、11−3で圧勝。優勝へのマジックを1とした。2日目の愛媛ウエスト戦では一転、序盤に4点をリードされるなど劣勢な試合展開に終始し、7−8で競り負けたが、続くNeo長崎戦ではしっかりと気持ちを切り替え、「底力」を発揮。初回に1番・筒井拓友の先頭打者ホームラン、ワイルドピッチで2点を先制すると、3回裏に1点を返されたものの、迎えた5回表、4番・ドニー・ヘイルの左中間を破るタイムリーツーベースで貴重な3点目を追加。7回表にも2番・植田貴也にソロホームランが飛び出し、Neo長崎の息の根を止め、4−1で勝利。この勝利で勝ち星を「13」に伸ばし、最終日、高知パシフィックウェーブとの対戦を残して、一足先に優勝を確定させた(最終戦に敗れ、平林金属に同率で並ばれても、直接対決の勝敗で大阪桃次郎が2勝しているため、リーグ規定により順位が上となる)。最終戦となった高知パシフィックウェーブとの一戦には1−4で敗れ、3敗目を喫しはしたが、今シーズンは開幕から終始「安定した戦いぶり」で首位の座を守り続け、西日本リーグ連覇を達成。「豪華タレント軍団」の実力を見せつけた。
 昨年に続き、この西日本リーグでは「実力通りの強さ」を見せつけ、連覇を成し遂げた大阪桃次郎。今年、日本代表候補にも初選出されたキャプテン・澤田優生をはじめ、筒井拓友、ドニー・ヘイル、中村健二らお馴染みのタレントが打線を牽引。投手陣も、クリス・ケイフル、中島幸紀、中村健二の3人を今シーズンは状況によって使い分け、順調に勝ち星を積み重ねていった。「選手層の厚さ」といった部分では、やはり他のチームを頭一つリードしている感があり、この勢いでいけば、5年ぶりの「日本リーグチャンピオン」へと一気に突っ走る可能性も十分ある。昨年の決勝トーナメントでは、岐阜エコデンSCに6−10で敗れ、無念の1回戦敗退。今年9月の全日本総合選手権でも、準々決勝で旭化成に1−12と打ち込まれ、まさかの5回コールド負けを喫するなど、この西日本リーグ以外では力を発揮できず、悔しさを味わう戦いが続いているだけに、今年の決勝トーナメントではその「本来の実力」を発揮できるか否かがポイントになりそうだ。

 首位・大阪桃次郎を「勝ち星一つ差」で追いかけ、この最終節で逆転優勝を狙った平林金属は、今節初戦となったジェイテクト戦に3番・松田光のツーランで決勝点を奪い、5−3と勝利。続く愛媛ウエスト戦も、初回に4連打を含む6本の安打を浴びせていきなり3点を先制すると、2回以降も着々とリードを広げ、9−1で快勝。最終戦となったオール福岡との一戦でも、4番・小見山敦吏が2本のホームランを叩き込むなど計16安打の猛攻を仕掛け、13−4で圧勝。今節無傷の3連勝で通算成績を13勝3敗に伸ばし、大阪桃次郎と同率で並ぶところまでこぎつけたが、最終的にはその大阪桃次郎との直接対決で喫した「2敗」が大きく響く形となり、惜しくも2年ぶりの優勝を逃すことになった。
 今シーズンの平林金属は、「投打の柱」松田光に頼るだけではなく、「チーム一丸」となった戦いで接戦の連続をモノにする印象がやはり強い。今節も3試合の内、エース・松田光を2試合温存。2日目の愛媛ウエスト戦では、ルーキー・水野拓実が先発投手に抜擢され、見事な完投勝利を飾るなど、「新たな可能性」を感じさせる場面もあった。打線も、日本代表候補に名を連ねるキャプテン・木谷謙吾が1番打者としてチャンスメイクに努め、松田光、小見山敦吏、平本拓朗のクリンナップもシーズンを通して好調を維持。他の選手もそれぞれが持ち味を前面に出すようになり、このところは選手層の厚みがグッと増している。今年一年の総決算となる決勝トーナメントではどのような戦いを見せてくれるのか、注目したい。

 大阪桃次郎、平林金属に続き、3位となったのは旭化成。この最終節でも自慢の「強力打線」が好調をキープし、初戦のジェイテクト戦で4本のホームランを含む計15安打を浴びせ、17−4で圧勝すると、続く高知パシフィックウェーブとの対戦でも、初回に3番・松岡真央のツーランで早々と先制。2回表にも7番・小野昌康のツーラン、相手守備の乱れで3点を追加するなど序盤で試合の大勢を決め、6−4で勝利。最終戦となった2日目のオール福岡戦こそ、立ち上がりからリードを奪われ、追いかける展開となったが、4−4の同点で迎えた土壇場の7回裏、5番・園田努のサヨナラ満塁ホームランで劇的な勝利を飾り、無傷の3連勝。通算成績を11勝5敗まで伸ばし、2年ぶりの決勝トーナメント進出を決めた。
 日本代表候補の米良孝太、上杉大輝、松岡真央、川田直諒を揃える自慢の「強力打線」がシーズンを通して得点を量産し、先月(10月)の長崎国体でも3年ぶりの優勝を飾るなど、まさにチームは絶好調。「打線の爆発力」にはやはり目を見張るものがあり、この勢いをそのまま決勝トーナメントに持ち込むことができれば、悲願の「日本リーグチャンピオン」も十分射程圏内と言えるだろう。金丸昭太、園田努の投手陣が踏ん張り、失点を最小限に食い止めることができれば、勝利の可能性は高くなる。国体優勝に続いて、決勝トーナメントの舞台でも「何かやってくれそう」なチームであることは間違いない。

 決勝トーナメントへ進出できる最後の一枠となる4位の座をつかみ取ったのは愛媛ウエスト。前節無傷の4連勝を飾り、通算8勝5敗で一気に決勝トーナメント進出圏内へと浮上してきた。今節初戦となった大阪桃次郎戦でも、序盤から3番・遠藤大輔、4番・菅野達也のホームランなどクリンナップの活躍でリードを奪うと、その後一度試合をひっくり返されはしたものの、「粘り強さ」を発揮し、7−7の同点で迎えた7回裏、5番・伊藤将旗のサヨナラタイムリーで8−7と接戦に勝利。前節の勢いそのままに、首位を走る大阪桃次郎に競り勝つ「見せ場」を作った。続く平林金属との対戦では、客野卓也、秋本聖也の投手陣がつかまり、1−9で完敗を喫したが、最終日のNeo長崎戦では再び投打の歯車が噛み合い、4−0の完封勝利。最終節も2勝1敗で勝ち越し、通算10勝6敗の4位となり、2011年に日本リーグに参入して以来、初の決勝トーナメント進出を決めた。
 今シーズンは、第1節終了時点で2勝3敗、第2節終了時点で4勝5敗と負けが先行していたが、第3節で無傷の4連勝を飾ったことが結果的には非常に大きく、ここが決勝トーナメント進出を引き寄せるターニングポイントになったと言える。3年後に開催される「愛媛国体」を視野に入れ、ここ数年、地道にコツコツと力をつけ、戦力を補強してきた。特に今年は、「即戦力」として日本体育大学でもキャプテンを務めた遠藤大輔が加わり、打線の主軸となる3番打者として、またチームのムードメーカーとしても活躍し、他の選手に「刺激」を与えたことが大きい。元日本代表であり、現在もコーチ兼任として「いぶし銀の活躍」を見せる石村寛。元U19日本代表で、世界ジュニア選手権第3位の実績を持つ主砲・菅野達也の活躍も、もちろん見逃せない。決勝トーナメントでも「ミラクルな戦い」を繰り広げ、一気に頂点へと駆け上がることができるか!?期待が膨らむ。

 5位は高知パシフィックウェーブ。今シーズンは開幕から苦しい戦いが続き、前節終了時点で通算6勝7敗。今節わずかながら決勝トーナメント進出の可能性を残していたが、初戦の旭化成戦に4−6で敗れ、早々とその可能性も消滅。2日目のダイワアクト戦では、初回に2番・片岡大洋のソロホームランで先制。同点に追いつかれた後の4回裏にも、3番・尾葺a登のタイムリーで勝ち越し点を奪い、2−1で接戦に勝利。最終日、大阪桃次郎との一戦でも、3回裏、1番・古敷谷亮のソロホームランで先手を取り、その後小刻みに得点を重ねて4−1で勝利を飾るなど、最後に「意地」を見せたものの、通算8勝8敗と星を五分に戻すのが精一杯。昨年に続き、この西日本リーグでは「ソフトボール王国・高知」らしからぬ戦いに終始し、どこか「不完全燃焼」のまま、シーズンを終えることになってしまった。

 6位はNeo長崎。この西日本リーグではなかなか思うように勝ち星を挙げられず、苦しい戦いが続いていたが、今年9月の全日本総合選手権で初優勝。調子も徐々に上向いてきたかと思われた。しかし、地元・長崎国体で優勝を逃したショックがやはり大きかったか、どこか「勢い」を失い、今節も2勝2敗とスッキリしない戦いぶり。初戦のオール福岡戦に6−5で競り勝ち、2日目のダイワアクト戦でも、先発・大串泰生が被安打1(6回一死までパーフェクト)の力投を見せ、1−0の完封勝利。ここまでは順調に勝利を重ね、「4位滑り込み」の可能性を残していたが、続く大阪桃次郎との一戦に1−4で敗れたことで、決勝トーナメント進出の可能性が完全に消滅。通算7勝9敗に終わり、2年連続の決勝トーナメント進出を逃した。

 昨年の「日本リーグチャンピオン」ダイワアクトは、この最終節で「まさかの4連敗」を喫し、通算5勝11敗の7位に転落。今節初戦の大阪桃次郎戦で、満を持して「世界一の左腕」アンドリュー・カークパトリックを先発させたが、3−11と思わぬ大敗。これで完全に「意気消沈」してしまったのか、2日目のNeo長崎戦でも「あわや完全試合……」の1安打完封負け。続く高知パシフィックウェーブとの対戦も1−2、最終日のジェイテクト戦にも2−4で競り負け、無念の4連敗となった。今シーズンは「新戦力」として、早稲田大学でインカレ2連覇の実績を残した左腕・古川恵士を補強。アンドリュー・カークパトリックとの二枚看板として活躍が期待されたが、まだこの日本リーグで結果を残すほどの実力はなく、結局は「エース一人」に頼らざるを得ない状況が続いた。選手兼任でチームを引っ張る田中紘一郎監督をはじめ、チーム生え抜きの福井庸祐、白水啓太ら優勝の味を知るベテラン組は相変わらず存在感を示しているが、今年の戦いを振り返ると、周りのメンバーがどこかそのベテランに頼りすぎていた感が否めない。

 8位はジェイテクト。昨年の7位(7勝9敗)という成績から、今シーズンはどこまで順位を上げることができるかという部分が注目されたが、今節を2勝2敗、通算成績5勝11敗に終わり、昨年の順位を一つ下回る結果となった。エース・北添政樹をはじめ、打線でも1番を打つ安戸和輝、主軸に座る3番・坂東伸昭、4番・上岡達史など、「チームの顔」となる選手がコンスタントに活躍しているが、チームとしてはまだ上位を脅かす存在にはなれていない。今後、上位進出を狙うことを考えれば、今節最終日のダイワアクト戦に4−2で競り勝ったような「積極果敢な戦い」を継続していくことが、まずは重要になるだろう。今後もまだまだ「伸びしろ」があるチームなだけに、来シーズンも貪欲に「上位進出」を狙ってもらいたい。

 オール福岡は泥沼の16連敗を喫し、最下位。結局「1勝」も挙げることができずに今シーズンを終えてしまった。今節初戦のNeo長崎戦では、序盤にリードを奪われながらも4回表に5番・浦野将喜のスリーラン、7番・井上朋彦のソロホームランで一挙4点を奪い、試合を一度振り出しに戻す粘りを見せたが、5回裏に決勝点を奪われ、「あと一歩」のところで5−6と惜敗。2日目、旭化成との対戦でも、初回に相手守備の乱れとキャプテン・佐伯忠昭のタイムリーで2点を先制。その後点の取り合いとなり、4−4のまま最終回に入るシーソーゲームを繰り広げたが、最後は先発・北弘和がサヨナラ満塁ホームランを浴びて、万事休す……。最後まで勝利に見放される形となった。来シーズンに向けて、ここからいかにチームを立て直していくのか。「1勝」することを目標に置くのではなく、この日本リーグで上位に絡めるようなチームを、ぜひめざしていってもらいたいものである。

 第43回日本男子ソフトボール西日本リーグの最終成績は下記の通りで、東西両リーグの上位4チームが出場し、今シーズンの「日本リーグチャンピオン」を決める決勝トーナメントは、11月15日(土)・16日(日)の両日、愛知県豊田市/豊田市運動公園ソフトボール場において開催される。

第43回 日本男子ソフトボール西日本リーグ 最終成績
順位 チーム名
優勝 大阪桃次郎 13
2位 平林金属 13
3位 旭化成 11
4位 愛媛ウエスト 10
5位 高知パシフィックウェーブ
6位 Neo長崎
7位 ダイワアクト 11
8位 ジェイテクト 11
9位 オール福岡 16

※1位・2位は同率チームの直接対決の勝敗で順位を決定
※7位・8位は同率チームの直接対決の失点数により順位を決定