2014.4.22
 

 

第43回 日本男子ソフトボール西日本リーグ第1節

大阪桃次郎が5勝1敗、平林金属が4勝1敗の好スタート!



男子西日本リーグが開幕
昨年の王者・大阪桃次郎が5勝1敗の好発進!

  2年ぶりの王座奪還を狙う
平林金属も4勝1敗と勝ち越し、好スタート

  旭化成も4勝2敗と勝ち越し
新キャプテン・上杉大輝がチームを引っ張る!

  地元・長崎での開幕を迎えたNeo長崎
2日目まで3連勝を飾るが、最終日に連敗を喫し3勝2敗

  昨年の日本リーグチャンピオン・ダイワアクトは3勝3敗
予想以上に黒星を喫したが、まだまだ余裕のある戦いぶり



ジェイテクトは2勝3敗
昨年の最終節が良い「転機」となり、粘り強さを見せている



愛媛ウエストも2勝3敗
若手が年々成長を遂げ、グラウンドで躍動しはじめた



高知パシフィックウェーブは1勝4敗と大きく負け越し
「ソフトボール王国」の名にかけて、次節以降“意地”を見せたい



オール福岡は元気なく5連敗
日本リーグ所属チームとして、もう一度個々が「戦う意識」を!


第43回日本男子西日本リーグ第1節(長崎県時津町)


 第43回日本男子ソフトボール西日本リーグ第1節が、去る4月18日(金)〜21日(月)の4日間(3日目の8試合中4試合が雨天の影響で中止となり、翌日に順延された)にわたり、長崎県時津町/とぎつ海と緑の運動公園において開催された。

 第1節では、昨年の西日本リーグ王者・大阪桃次郎が5勝1敗、平林金属が4勝1敗の好スタート。上位グループは、この2チームに旭化成が4勝2敗、Neo長崎が3勝2敗で続く形となった。

 昨年、初の西日本リーグ制覇を果たした大阪桃次郎は、初戦の旭化成戦に、初回、中村健二のタイムリースリーベースなどでいきなり3点を先制。その後も植田貴也、中村真也のタイムリー、相手守備の乱れで着々と加点し、リードを広げると、迎えた6回裏には、キャプテン・澤田優生のセンターオーバーのソロホームランでダメ押しの8点目を奪い、8−3で快勝。続く平林金属戦にも、初回に澤田優生のツーランで強烈な先制パンチを浴びせると、同点に追いつかれ、迎えた5回表には、中島幸紀、ドニー・ヘイル、中村健二の3本のホームランなど「一発攻勢」で一挙5点を挙げ、勝ち越しに成功。7回表にも、猪股要のスリーランで試合を決める3点を追加し、10−4と打ち勝ち、初日、まずは連勝スタート。2日目は、オール福岡戦に10−2と圧勝した後、愛媛ウエスト戦に1−4で敗れ、初黒星を喫したが、3日目のジェイテクト戦ではしっかりと気合いを入れ直し、猪股要のソロホームラン、ドニー・ヘイルのタイムリーなどで3−1と勝利。最終日のダイワアクト戦でも、ダイワアクトの「ルーキー」古川恵士を攻め、筒井拓友の2本のソロ、クリス・ケイフルのスリーランなど3本のホームランを含む計13安打の猛攻で7−3と快勝。自慢の強力打線の活躍で今節5勝1敗と大きく勝ち越し、西日本リーグ「連覇」に向けて好調な滑り出しを見せた。6試合で計12本のホームランを叩き込み、39点を奪った「破壊力抜群の打線」は今シーズンも健在。相手に多少のリードを奪われても、ワンチャンスであっという間に試合をひっくり返してしまう“個々のタレントの力”は、他のチームにとってやはり脅威となりそうだ。投手陣も、クリス・ケイフル、中島幸紀の二枚に加え、今シーズンは中村健二が復帰。シーズンを通して安定した結果を残すことができれば、「連覇」への道はさらに開けてくるといえるだろう。

 2年ぶりの王座奪還を狙う平林金属は、初戦でダイワアクトと激突。エース・松田光が初回、アンドリュー・カークパトリックにいきなりツーランを浴び、先制点を許す展開となったが、4回表にその松田光が「お返し!」とばかりにセンターオーバーのソロホームランを叩き込み、反撃開始。土壇場の7回表にも、一死から平本拓朗がセンターへ同点のソロホームランを放ち、延長タイブレーカーに持ち込むと、2−2のまま迎えた9回表、押し出しと小見山敦吏の満塁ホームラン、さらに谷口淳のソロホームランで一挙6点を奪い、8−4で勝利。続く大阪桃次郎戦では、横畠充、水野拓実の投手陣がつかまり、4−10と敗れはしたが、2日目のオール福岡戦で14−4の5回コールド勝ちを収め、再び息を吹き返すと、3日目の高知パシフィックウェーブ戦に平本拓朗の2打席連続のホームランなどで5−2の逆転勝ち。最終日のNeo長崎戦でも、延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦を5−4で制し、今節4勝1敗。西日本リーグ、決勝トーナメントを制し、日本リーグチャンピオンに輝いた2年前の「勝負強さ」を感じさせる戦いぶりで、まずは好スタートを切った。エース・松田光は今年、リーグ開幕までのオフシーズンを利用してソフトボール王国・ニュージーランドへと渡り、武者修行。投・打ともにさらに一皮むけた姿で、今シーズンも抜群の存在感を見せている。ただ、「松田一人」ではこのリーグ戦は戦えない。第2節以降、チームとしてどのようなゲームプランを組み、どう選手を使い分け、勝ち星を積み重ねていくのか。王座奪還を果たすためには、吉村啓監督の采配も重要なカギを握っている。

 今節4勝2敗の旭化成は、初日、大阪桃次郎戦に3−8で敗れ、黒星スタート。続く愛媛ウエスト戦では2点を先制されながら、4回表、川田直諒の左中間へのツーランで同点に追いつくと、迎えた7回表にも、再び川田直諒がレフトへ勝ち越しの満塁ホームランを叩き込み、6−2で快勝。しかし、2日目、ジェイテクト戦を2−6で落とし、再び黒星が先行。序盤はなかなか波に乗れない状況が続いた。しかし、次戦のダイワアクト戦では気迫溢れる戦いを展開。2回表に2点を先制されたものの、その裏、小野昌康のタイムリーで1点差に詰め寄ると、終盤の6回裏には、二死から川田直諒のセンターへのソロホームランで試合を振り出しに戻し、2−2のまま延長タイブレーカーに突入。迎えた8回裏、一死三塁から金丸祝一のレフト前タイムリーで3−2と劇的なサヨナラ勝ちを収めた。この勝利が今節の流れを変える「大きな1勝」となったか、その後、3日目の高知パシフィックウェーブ戦に松岡真央のソロホームラン、タイムリースリーベースなどで8−5と打ち勝つと、最終日のオール福岡戦にも川田直諒のスリーラン、金丸祝一のツーランなどで7−0の圧勝。結果、今節を4勝2敗と勝ち越し、大阪桃次郎、平林金属に続く好位置につけた。チームの「主砲」川田直諒は、この第1節で4本塁打を放つなど大活躍。同じくクリンナップを形成する松岡真央、今シーズンからキャプテンを務める「切り込み隊長」上杉大輝らも好調を維持しており、昨年同様、攻撃力は西日本リーグトップクラスといっていい。金丸昭太、園田努ら投手陣の奮起次第では、初の西日本リーグ制覇も決して夢ではない。

 昨年と同じく、地元・長崎での開幕を迎えたNeo長崎は、初日、まずオール福岡戦に11−3、ジェイテクト戦に5−4と連勝。2日目の高知パシフィックウェーブ戦も、3回表に津本大貴のソロホームラン、平山靖のツーランホームランで3点を先制すると、5回表にもキャプテン・田慎吾のライト前タイムリーでダメ押し点を奪い、4−2で勝利。2日目終了時点では唯一負けなしの3連勝を飾るなど、好スタートを切った。しかし、最終日、平林金属戦に延長8回タイブレーカーにおよぶ熱戦の末、4−5で競り負けると、続くダイワアクト戦でも、先発した大串泰生が序盤につかまり、大量失点。打線もアンドリュー・カークパトリックの前にわずか3安打と抑え込まれ、1−8の完敗に終わり、今節3勝2敗と勝ち越しはしたが、上位チームとの対戦で結果を残せず、今後に「不安」を残す内容となった。今年10月に開催される「長崎国体」に向け、チームの士気は確かに高まっており、エース・森勇紀を中心に、打線も楠本圭、田慎吾、平山靖ら個々に能力の高い選手が揃っている。「ここ一番!」で力を発揮できるチームへと進化できれば、優勝の二文字はそう遠くないはずである。

 昨年、2年ぶり3度目の日本リーグチャンピオンに輝いたダイワアクトは、3勝3敗。「世界一の左腕」アンドリュー・カークパトリックを先発させながら、初日の平林金属戦、愛媛ウエスト戦、2日目の旭化成戦と3試合連続で延長タイブレーカーにもつれ込む接戦となり、1勝2敗。ジェイテクト戦では、「期待のルーキー」古川恵士が完投勝利を飾り、星を五分に戻したものの、最終日の大阪桃次郎戦ではその古川恵士がつかまり、3−7で敗れ、再び黒星先行。Neo長崎戦では、満を持して再びアンドリュー・カークパトリックを先発させ、8−1で圧勝し、今節負け越しという状況だけは免れたが、結果的に予想以上の黒星を喫する形となった。ただ、今回のアンドリュー・カークパトリックのピッチングを見る限り、まだ“MAX”の状態ではなく、かなり余力を残しながらのピッチングであったことは否めない。今節の結果を受けて、第2節以降、どのように巻き返しを図っていくのか。今後の戦いぶりが注目される。

 ジェイテクトと愛媛ウエストは2勝3敗。ジェイテクトは、初日のNeo長崎戦で手に汗握る攻防の末、4−5のサヨナラ負けを喫したものの、2日目の旭化成戦ではうまく気持ちを切り替え、初回に上岡達史、藤本昌史のタイムリーで3点を先制。5回表にも北添政樹の右中間へのスリーランホームランでリードを広げ、6−2で快勝すると、3日目の愛媛ウエスト戦でも、延長8回タイブレーカーにおよぶ熱戦に3−2で逆転勝利。最終的に今節負け越しはしたが、昨年、上位チームから3勝を挙げた最終節の戦いが一つの「転機」となり、どのチームを相手にしても、臆することなく、粘り強い戦いを展開できるようになってきた。今後もこの状態を持続させ、さらに貪欲に上をめざしていくことができれば、今年こそ上位争いをかき回す「台風の目」になるかもしれない。

 愛媛ウエストは、初日の旭化成戦、ダイワアクト戦に連敗したものの、2日目、高知パシフィックウェーブ戦に小椋一弘のサヨナラホームランで5−4、大阪桃次郎戦に「主砲」菅野達也の決勝ツーランなどで4−1と快勝し、連勝。3日目のジェイテクト戦では、初回に遠藤大輔、菅野達也の連続タイムリースリーベースで2点を先制しながら、延長8回タイブレーカーの末に2−3と競り負け、今節勝ち越しとはいかなかったが、こちらも昨年に比べると、若手の成長もあり、チーム全体に活気が感じられるようになってきた。

 高知パシフィックウェーブは今節大きく負け越し、1勝4敗。初日のオール福岡戦は、初回にいきなり尾葺a登のスリーランで先手を奪い、3回表にも岡本友章、中西康太、山尾竜則、古敷谷亮ら4本のホームランで一挙7点を追加。10−0の5回コールド勝ちを飾ったが、2日目、Neo長崎戦に2−4で敗れ、愛媛ウエスト戦にも4−5のサヨナラ負けを喫し、連敗したことで完全にリズムを崩したか、3日目の平林金属戦では2−5、旭化成戦でも5−8と競り負け、4連敗。第1節終了時点で、はやくも厳しい状況に立たされてしまった。

 オール福岡は元気なく5連敗。今節5試合で計52失点という状況では、この結果も致し方ないところか。攻撃に関しては昨年戦力を補強し、ある程度の得点を見込めるようになってきた。しかし、肝心の「核」になる投手がいない……といえばそれまでだが、今後もこの日本リーグという「トップレベル」で戦い続けていこうというのであれば、何か具体的な策をこうじ、この状況を変えていかなければならない。選手個々の顔ぶれを見れば、高校、大学時代に名を馳せ、この日本リーグで実績を残した選手もいる。もう一度“戦う意識”を取り戻し、次節以降、何とか勝ち星を重ねていってもらいたいものである。

 日本男子ソフトボール西日本リーグ第1節終了時、全チームの成績は下記の通りで、第2節は5月31日(土)・6月1日(日)の両日、大阪府泉南市/サザンスタジアム、なみはやグラウンドにおいて開催される。



第43回 日本男子ソフトボール西日本リーグ 第1節終了時点 全チーム成績
チーム名
大阪桃次郎 5 1
平林金属 4 1
旭化成 4 2
Neo長崎 3 2
ダイワアクト 3 3
ジェイテクト 2 3
愛媛ウエスト 2 3
高知パシフィックウェーブ 1 4
オール福岡 0 5

※同率の場合には、前年の順位が上のチームから順に表記しています。