2014.11.18
 

 

第43回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント

ホンダエンジニアリングが初の「頂点」へ!



ホンダエンジニアリングが初優勝
「真の日本リーグチャンピオン」の座へ!

  東西両リーグの上位4チームが
「頂点」をめざし、熱戦を繰り広げた

  【準決勝】愛媛ウエスト VS 豊田自動織機
初回に3点をリードした愛媛ウエストが主導権を握り、快勝!

  豊田自動織機 「注目の投手」 深津悠平は、
立ち上がりにつかまり、無念の4失点。決勝進出を逃した

  【準決勝】トヨタ自動車 VS ホンダエンジニアリング
ホンダエンジニアリング打線が爆発!15安打・15得点の猛攻で圧勝した



「頼みのエース」 木原道哲にすべてをかけたトヨタ自動車
しかし……勢いに乗ったホンダエンジニアリング打線を止めることはできなかった



【決勝】愛媛ウエスト VS ホンダエンジニアリング
ともに「初優勝」をかけて、両チームが激突!



勢いに乗るホンダエンジニアリング打線が再び爆発
3回裏に一挙6点を挙げ、大きくリードを奪う



決勝では、浜口辰也監督が自ら先発登板
「百戦錬磨」のピッチングで6イニングを無失点に抑えた



ホンダエンジニアリング、歓喜の初優勝!
浜口辰也監督の身体が宙に舞う



充実した戦力だけではなく、「気迫」と「泥臭さ」で手にした栄冠。 ホンダエンジニアリングの強さが、いかんなく発揮された


Broadcast live streaming video on Ustream

 今シーズンの日本男子ソフトボールリーグの王者を決める「第43回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」が、去る11月15日(土)・16日(日)の両日、愛知県豊田市・豊田市運動公園ソフトボール場において開催された。

 この決勝トーナメントには、今シーズンの東西両リーグ上位4チーム(計8チーム)が出場。真の日本リーグチャンピオンの座をかけて「最後の決戦」が繰り広げられた。

 今回、東日本リーグからは、リーグ戦を13勝1敗で駆け抜け、5年ぶりの王座奪還を果たしたデンソーをはじめ、2位・ホンダエンジニアリング、3位・豊田自動織機、4位・トヨタ自動車の4チームが出場。
 西日本リーグからは、リーグ戦を13勝3敗で制し、連覇を成し遂げた大阪桃次郎をはじめ、2位・平林金属、3位・旭化成、4位・愛媛ウエストの4チームが出場し、覇が競われた。

 初日は1回戦4試合が行われ、まず第1試合で平林金属(西2位)と豊田自動織機(東3位)が対戦(USTREAM中継映像はこちら)。ともに「日本代表候補」に名を連ねる平林金属・松田光、豊田自動織機・深津悠平の「投げ合い」に注目が集まったが、今シーズン「勢い」のある豊田自動織機がいきなり先制攻撃。初回、一死一・二塁のチャンスで4番・城之園穣がセンターバックスクリーンへ完璧な当たりのスリーランを叩き込み、強烈な先制パンチを浴びせると、続く2回裏にも、二死二塁から1番・森田裕介がセンターに弾丸ライナーで突き刺すツーランを放ち、序盤で早々と5点をリード。終盤5回裏には、二死二塁から5番・平見和紀にトドメとなる特大のツーランが飛び出し、効果的な「一発攻勢」で松田光から計7点を奪った。
 投げては、打線の援護をもらった先発・深津悠平が、持ち前の「気迫」とコーナーを突く「丁寧なピッチング」で平林金属打線を4安打に抑える好投。6回表に1点を失いはしたが、松田光との「日本代表候補対決」に投げ勝ち、まずは準決勝進出を決めた。

 第2試合では、愛媛ウエスト(西4位)とデンソー(東1位)が対戦(USTREAM中継映像はこちら)。東日本リーグ王者・デンソーが、2回裏に二死一塁から1番・松井徹也のライトオーバーのタイムリーツーベースで1点を先制し、流れをつかんだかに見えたが、初の決勝トーナメント進出を果たし、頂点の座へと意気込む愛媛ウエストも4回表に反撃。この回先頭の3番・遠藤大輔が二遊間を鋭く破り、この打球の処理にもたついた相手外野手の一瞬の隙を突いて一気に二塁を陥れると、さらに四球、送りバントで二・三塁と走者を進め、二死後、7番・稲垣力哉がしぶとくセンター前に落とし、この間に二者が生還。打ちあぐねていたデンソーの先発・山脇佑也をとらえ、試合をひっくり返した。
 守っては、エース・客野卓也がデンソー打線に再三得点機を作られたものの、「粘りのピッチング」を展開。2回裏に1点を先制されたものの、この回以外は得点を与えることなく、リードを守り抜き、2−1で接戦に勝利。東日本リーグ王者を見事に撃破した。

 第3試合、大阪桃次郎(西1位)とトヨタ自動車(東4位)の一戦(USTREAM中継映像はこちら)は、両チーム「取られたら取り返す!」熱戦となり、トヨタ自動車が初回、4回裏に4番・山本淳、代打・三谷芳輝のタイムリー、相手守備の乱れで3点を挙げれば、大阪桃次郎も2回表に9番・西川勝悟のタイムリー、5回表に4番・ドニー・ヘイルのツーランで3点を奪い、同点。互いに一歩も譲らず、3−3のまま、試合は最終回に入った。7回表、得点を挙げることができなかった大阪桃次郎に対し、トヨタ自動車はその裏、この回先頭の1番・久保猛司がセカンドへの内野安打で出塁。送りバントで二塁へ進み、二死後、4番・山本淳も故意四球で歩かされ、一・二塁とすると、ここで5番・江口真史が甘く入ってきた初球を狙い澄まし、レフトへ豪快なサヨナラスリーラン。未だ選手兼任として活躍を続け、チームを引っ張る「監督自らの一撃」で、優勝候補の筆頭と目されていた西日本リーグ王者に劇的な勝利を収めた。

 第4試合では、ホンダエンジニアリング(東2位)と旭化成(西3位)が対戦(USTREAM中継映像はこちら)。互いに序盤は得点を挙げられずにいたが、迎えた3回表、ホンダエンジニアリングが8番・富田洋介のソロホームラン、3番・床井優介のタイムリーで2点を先制し、試合の流れをつかむと、続く4回表にも5番・黒田友也のソロホームラン、1番・糸瀬勇助のタイムリーで3点を追加。勢いに乗るホンダエンジニアリングは、終盤6回表にもワイルドピッチの間に1点、7回表にも押し出しなどでダメ押しの2点を加え、旭化成を圧倒。
 投げては、浅野公太、永吉孝臣の投手リレーで、最終回に永吉孝臣が3点を返される場面はあったものの、強打の旭化成打線を4安打に抑え、8−3で快勝。準決勝へ駒を進めた。

 2日は準決勝・決勝の3試合が行われ、まず準決勝第1試合で愛媛ウエスト(西4位)と豊田自動織機(東3位)、準決勝第2試合でトヨタ自動車(東4位)とホンダエンジニアリング(東2位)が、それぞれ決勝進出をかけて激突した。

 準決勝第1試合、愛媛ウエスト(西4位)対豊田自動織機(東3位)の対戦(USTREAM中継映像はこちら)は、先攻の愛媛ウエストが初回、豊田自動織機の先発・深津悠平の立ち上がりを攻め、押し出しの死球と7番・稲垣力哉のライト前タイムリーで幸先良く3点を先制。豊田自動織機も2回裏に二死一・三塁のチャンスを作り、9番・亀井博のタイムリーと相手守備の乱れで1点差に詰め寄るなど、このまま打撃戦になるか……とも思われた。しかし、迎えた4回表、愛媛ウエストは一死から8番・渡部慎彦のセンターオーバーのスリーベース、9番・小椋一弘のライト前タイムリーで4点目を加えると、なおも敵失、盗塁で二・三塁と攻め立て、2番・石村寛の二遊間を抜くタイムリーで5点目。さらに3番・遠藤大輔のライトへの犠牲フライで6点目を追加。この回豊田自動織機を突き放す大きな3点を奪い、勝利をグッと引き寄せた。
 守っては、エース・客野卓也が前日のデンソー戦に続き、この試合もボールを丁寧に低めに集め、「粘りのピッチング」を展開。4回まで毎回安打を許しながらも、最後までビックイニングを作らせることなく、7回2失点の内容で完投勝利。一足先に決勝進出を決めた。

 準決勝第2試合では、トヨタ自動車(東4位)とホンダエンジニアリング(東2位)が対戦(USTREAM中継映像はこちら)。東日本リーグ第3節(最終節)の最終戦で17安打・11得点と打ち込み、圧勝したホンダエンジニアリングがこの試合もいきなりペースを握り、初回、二死三塁から4番・浦本大嗣のセンターバックスクリーンを直撃する特大ツーランで先制。トヨタ自動車も負けじと反撃に転じ、2回表、相手守備の乱れと1番・久保猛司のライトへのタイムリーで一挙4点を奪い、逆転に成功したが、その裏、ホンダエンジニアリングが6番・佐藤輝のソロ、2番・保坂真樹の走者一掃のランニングホームランで4点を入れ返し、再び6−4とリードを奪った。こうなると、試合の流れは前回の対戦で大勝しているホンダエンジニアリングへと傾く。先発・浅野公太が3回表に一発を浴び、5点目を失いはしたが、その裏、4番・浦本大嗣の2打席連続となるソロホームランなどで2点を加えると、ここから再び勢いを加速させ、4回裏にも1番・糸瀬勇助のソロ、5番・黒田友也のタイムリー、6番・佐藤輝のツーランで4点を追加。5回表にこの試合2本目のソロホームランを浴びた後も、6回裏、4番・浦本大嗣、6番・佐藤輝の3本目となる特大アーチでトヨタ自動車の息の根を止める3点を奪い、圧倒。8本のホームランを含む15安打・15得点と打ちまくり、2年ぶりの決勝へ駒を進めた。

 西日本リーグ4位と東日本リーグ2位の対決となった愛媛ウエスト対ホンダエンジニアリングの決勝は、準決勝で15安打・15得点の猛攻を見せたホンダエンジニアリング打線が、ここまでの「勢い」をそのまま持ち込み、爆発。0−0のまま迎えた3回裏、2つの四球と犠打失策で無死満塁のチャンスを作ると、準決勝で大当たりの4番・浦本大嗣が鮮やかにライト前に運び、二者が生還。この「主砲の一打」で再び打線の「勢い」が増し、続く5番・黒田友也の三遊間を破るタイムリーで3点目を追加。なお無死一・三塁と続いた得点機で6番・佐藤輝にもライトへの特大スリーランが飛び出し、この回一挙6得点。圧巻の「集中打」で大きくリードを奪った。ホンダエンジニアリングはこの後も着々と得点を重ね、5回裏にも一死満塁から1番・糸瀬勇助の犠牲フライで7点目。6回裏には3番・床井優介のライトへのソロホームランでダメ押しの8点目を追加。念願の初優勝を決定的なものとした。
 投げては、この決勝で自ら先発登板した浜口辰也が、まさに「百戦錬磨」を感じさせる貫録のピッチングを披露。全盛期のような力で抑え込む投球スタイルではないものの、緩急・コントロールを重視した「巧みな投球術」で愛媛ウエスト打線を翻弄し、4安打を打たれながらも6イニングをしっかりと無失点でまとめると、最終回は「若者の出番!」と言わんばかりにエース・浅野公太へとバトンタッチ。最後はエース・浅野公太が、その監督の思いを受け止め、感情が高ぶり思わず涙する場面を見せながらも、渾身のピッチングを展開。懸命に食らいつく愛媛ウエスト打線に2点を返されはしたが、リードを守り抜き、歓喜の初優勝を成し遂げた。

 東日本リーグでは最多の優勝回数を誇るホンダエンジニアリングも、この決勝トーナメントを勝ち抜き、「真の日本リーグチャンピオン」の座を手にしたのははじめてのこと。優勝争いの常連と言われながら、決勝トーナメント特有の一発勝負で泣かされ、これまで何度も悔しい思いを噛みしめてきた。投手陣では浅野公太、永吉孝臣、浜口辰也、打線も糸瀬勇助、床井優介、浦本大嗣、黒田友也らのタレントが揃い、「選手層」といった部分ではやはり厚みを感じさせる。また、チームのムードメーカーであり、「暑苦しいまでの闘争心」で他の選手を鼓舞し続けたキャプテン・加藤一秀や保坂真樹の存在も非常に大きかった。充実した戦力ばかりつい目がいきがちになるが、相手に劣ることのない「気迫」と「泥臭さ」こそ、このチームの売りであることを忘れてはならない。

 また、今年の決勝トーナメントでは、「円熟味溢れるベテラン」の活躍も光った。決勝の舞台で相手打線を手玉に取る貫録の投球内容を見せたホンダエンジニアリングの浜口辰也。トヨタ自動車の江口真史も、浜口辰也と同じく監督兼任でありながら、「ここぞ!」という場面ではチームを救うビックプレーを連発してくれた。惜しくも準優勝に終わったが、愛媛ウエスト・石村寛の勝負強さを感じさせるプレーも、やはり見逃すことができない。今回の決勝トーナメントの本当の主役は、この頼れるベテランたちであったと言っても過言ではないだろう。

 次は、次世代を担う「若い選手たち」の番である。優勝投手となり、頂点に立つことを経験したホンダエンジニアリング・浅野公太が、来年はどこまで成長した姿を見せることができるか。準優勝に終わった愛媛ウエストのキャプテン・菅野達也、攻守でチームを引っ張ったルーキー・遠藤大輔も、この悔しさを糧に今後「さらなる飛躍」が期待される。
 日本リーグをさらに盛り上げ、日本の男子ソフトボールのレベルを押し上げていくために……!
 来シーズンも、選手たちはこの「日本リーグの舞台」で凌ぎを削る!!

決勝トーナメント