2014.11.11
 

 

開催迫る!
第43回日本男子ソフトボールリーグ
決勝トーナメント!!


西日本リーグ2位の平林金属。今や「日本を代表する選手」に
成長した松田光を中心に、「優勝を狙える布陣」は整っている

  東日本リーグ3位の豊田自動織機。チームを変えた!?男
深津悠平の「気合」と「魂」のこもったプレーに注目!!

  5年ぶりに東日本リーグを制したデンソー。今シーズンの「全日本実業団男子選手権」の覇者でもあり、2007年以来の王座奪還を狙う!

  西日本リーグ4位の愛媛ウエスト。初の決勝トーナメントで
「4番」菅野達也を中心とする「強力打線」が火を噴くか!?

  西日本リーグで「連覇」を飾った大阪桃次郎。ニュージーランド・ブラックソックスで「世界制覇」を成し遂げたドニー・ヘイル他、豪華なタレントを揃え、「決勝トーナメント制覇」へ虎視眈々!!



東日本リーグ4位のトヨタ自動車。全日本総合男子選手権では
決勝進出を果たし、準優勝するなど、力は持っているチームだ



東日本リーグ2位のホンダエンジニアリング。東日本リーグでは
最多優勝回数を誇る「強豪」が決勝トーナメント制覇へ意気込む



西日本リーグ3位の旭化成。長崎国体成年男子の部を制し、
調子は上々。優勝を狙えるだけのチーム力は備わっている



全日本総合男子選手権の覇者・Neo長崎は西日本リーグ6位に沈み、決勝トーナメントに進めず。どこが勝つかわからない???



昨年の決勝トーナメントの覇者・ダイワアクトも今シーズンは西日本リーグ7位と低迷。今シーズンの栄冠は何処へ……



開催迫る!第43回 日本男子ソフトボールリーグ 決勝トーナメント


 来る11月15日(土)・16日(日)の両日、愛知県豊田市・豊田市運動公園ソフトボール場を会場に、「第43回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」が開催される。
 この「第43回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」は、東日本リーグ・西日本リーグの上位4チームによるトーナメントで、女子の決勝トーナメントのように、ページシステム、敗者復活戦は採用しておらず、まさに「一発勝負」。「真の日本一」「日本リーグチャンピオン」の座をかけ、東西「4強」が激突することになる。
 この決勝トーナメントは、男子リーグが東日本リーグ・西日本リーグ制を導入した2004年から行われており、初年度のみ全チームが参加。翌年から現行の東西リーグの上位4チームによるトーナメント方式となり、東西の1位と4位、2位と3位が対戦する形で行われる。
 過去10回の歴史を遡ってみると、決勝トーナメント制採用初年度の2004年・第33回大会から西日本リーグ4位の高知パシフィックウェーブが「下剋上」を果たし、優勝したのを皮切りに、東西リーグの「覇者」がことごとく敗退。「東西リーグの覇者は優勝できない」というジンクスが長く続いた。
 2010年・第39回大会で西日本リーグを制したダイワアクトが優勝を飾り、「二冠」を達成。このジンクスを打ち破り、「東西リーグの覇者は優勝できない」の呪縛を解くと、翌年も西日本リーグ・決勝トーナメント両大会を制し、2年連続で「二冠」の偉業を達成した。
 この偉業達成には、「世界最速」MAX135km/hを誇るアダム・フォーカードとともに、母国・オーストラリアの世界選手権制覇にも貢献した「世界最高のサウスポー」アンドリュー・カークパトリックの存在が大きく、昨シーズンも西日本リーグでは2位に終わりながら、決勝トーナメントで巻き返し、3度目の決勝トーナメント制覇を成し遂げたことは記憶に新しい。
 しばらくは「ダイワアクト時代」が続くかと思われたが、これに「待った」をかけたのが平林金属。2012年・第41回大会で当時「日本ソフトボール界でもっとも勢いのある男」と呼ばれた松田光の投打にわたる活躍で西日本リーグ・決勝トーナメントを制し、ダイワアクトの進撃をストップ。ダイワアクトに代わって「王座」に就き、「二冠」を達成した。
 ただ、東西リーグ、決勝トーナメントの両方で「頂点」に立ったのは、この3例だけであり、逆にいえば、「何が起こるかわからない」のが、この男子リーグ決勝トーナメントの「魅力」ともいえよう。
 また、東日本リーグ勢の優勝は、2007年・第36回大会のデンソーだけであり、ここまでのところ「西高東低」の図式が続いている。ただし、昨年はデンソー、一昨年はホンダエンジニアリングが決勝進出を果たし、ダイワアクト、平林金属と「死闘」を演じているだけに、久々の東日本リーグ勢の決勝トーナメント制覇にも期待がかかる。

・11月15日(土)
第1試合 9:30 試合開始予定
西日本リーグ2位 vs  東日本リーグ3位
平林金属 豊田自動織機
 第1試合の見どころは、平林金属・松田光、豊田自動織機・深津悠平の「対決」に注目が集まる。
 平林金属・松田光は、2012年の「二冠」達成時は、「日本ソフトボール界でもっとも勢いのある男」と呼ばれ、投打でチームを牽引。日本代表入りも果たし、「世界の舞台」へのデビューも飾った。
 今や「勢いのある男」ではなく、円熟味を増し、押しも押されぬ「日本ソフトボール界の中心」に立つ男に成長し、日本国内のみならず、「世界の舞台」で男子日本代表を再び「世界のトップレベル」へと導く役割を担ってもらわなければならない存在だが、そのためには、この決勝トーナメントでも「王座」に返り咲き、「男・松田光ここにあり」と存在感を示す必要があるだろう。
 一方、豊田自動織機・深津悠平は「新・日本ソフトボール界でもっとも勢いのある男」と呼びたくなるような「期待の新鋭」。このところ決勝トーナメント進出すら逃していた豊田自動織機に「喝」を入れ、チームを「変えた」といっても過言ではない。
 その気合の入ったピッチングと、独特のキャラクターは一見の価値あり。「元祖」「本家」ともいうべき存在・松田光にどこまで対抗できるか注目が集まる。
 この二人を支えるチーム力、総合力といった点では、この決勝トーナメントで二度の優勝を飾っている平林金属に一日の長がある。
 前回の世界選手権の「日本代表」であり、「日本代表候補」でもある俊足・好打のキャプテン・木谷謙吾。「右のスラッガー」松田光とともに打線の中軸を打ち、驚異的なパワーと飛距離を誇る「左のスラッガー」小見山敦吏。「日本代表候補」に名を連ねた「スピードスター」西山幸助と堅実な守備に「一発」を兼ね備えた打撃が魅力のキャッチャー・平本拓朗。前回の世界選手権の「日本代表」で、今回も「日本代表候補」に挙がり、「世界の舞台」での戦いに衰えぬ意欲を見せるベテラン・谷口淳。U19日本代表として「世界の舞台」を経験し、今後の成長が期待される「次世代のスラッガー」尾赴M成ら、個性豊かなメンバーが揃う。実力的には「日本一」を狙うだけの陣容は整っている。
 豊田自動織機は、東日本リーグの最終節でやや調子を落としていたのが気がかり。「注目」の深津悠平も打ち込まれるシーンが目立ち、かつてU19日本代表の「エース」として活躍した「左腕」田耕児郎も十分に持てる力を発揮できない状態が続いている。
 監督兼任でチームを引っ張る「元・日本代表」亀井博。前回の世界選手権の「日本代表」でシュアな打撃が持ち味の伊藤公彦。東日本リーグで打率3割9分1厘のハイアベレージを残した池田謙太。独特の構えからのフルスイング、豪快なスイングでチーム最多の15打点を挙げた森田裕介らの打線が、投手陣をどこまで援護できるかがカギとなりそうだ。
 今夏の「全日本実業団男子選手権」で準優勝するなど、潜在能力は高い選手が揃っており、徐々に「本領」を発揮しつつある。この決勝トーナメントで秘めた力が「覚醒」すれば……一気に「頂点」へ登り詰める可能性もある。

第2試合 11:30 試合開始予定
東日本リーグ1位 vs  西日本リーグ4位
デンソー 愛媛ウエスト
 5年ぶりに「東日本リーグ制覇」を果たし、東日本リーグ勢で唯一、この決勝トーナメントを制した経験を持つデンソーが、西日本リーグ4位に入り、リーグ参戦4年目にして初の決勝トーナメント進出を果たした愛媛ウエストと対戦する。
 東日本リーグの覇者・デンソーは、山脇佑也、岡阜囀lの「二枚看板」を中心に、打線は、今シーズン、打率4割8分6厘と打ちまくり、東日本リーグ・首位打者を獲得した川田寛明。打率4割のハイアベレージを残した「売出し中」の西森成と「元・日本代表」の槙田直也。「一振り」で試合を決める「凄味」を持つ川崎智秋。最終節の「勝負どころ」でチームを優勝に導く快打を連発したキャプテンの長岡孝。今夏の「全日本実業団選男子手権」優勝の立役者となった松井徹也らがしっかりとそれを支えている。
 特に、岡阜囀lは、2012年の「第9回世界男子ジュニア選手権」、そして今年開催された「第10回世界男子ジュニア選手権」でU19日本代表の「エース」として世界を震撼させ、獅子奮迅の活躍で準優勝、3位という好成績を残す原動力となった。
 日本リーグでは、まだそこまでの活躍は見せてはいないが、今回「日本代表候補」にも名前が挙がり、「次代の日本代表を背負って立つ逸材」として期待されている。それだけに、この決勝トーナメントで、真の意味で「ブレイク」することができれば、日本のソフトボール界にも新たな「光明」がもたらされることになる。舞台が大きくなればなるほど、その「力」を発揮する男だけに期待が高まる。
 一方、愛媛ウエストは、西日本リーグ4位で「初」の決勝トーナメント進出だが、その「破壊力」のある打線には定評がある。2008年の「第8回世界男子ジュニア選手権」の出場メンバーで、北海道日本ハムファイターズにドラフトされ、話題をさらった大嶋匠とともに打線の「中軸」を担った「長距離ヒッター」菅野達也が「4番」に座り、元・日本代表でキャプテンを務め、無類のキャプテンシーとリーダーシップを発揮する石村寛がいまだ健在。コーチ兼任でチームを引っ張り、大学ソフトボールの「名門」日本体育大から加入した「ルーキー」遠藤大輔らも活きの良いプレーを見せる。
 エース・客野卓也が辛抱強く、粘り強いピッチングで試合を作ることができれば、「下剋上」を果たす可能性も十分にある。
 東日本リーグを制したデンソーの「二枚看板」がその力を発揮し、愛媛ウエストの「強力打線」を抑え込むのか、あるいは愛媛ウエストの破壊力抜群の打線がデンソー投手陣を攻略するのか、そのあたりがこの試合の「焦点」となりそうだ。

第3試合 13:30試合開始予定
西日本リーグ1位 vs  東日本リーグ4位
大阪桃次郎 トヨタ自動車
 西日本リーグ「連覇」を飾り、2009年・第38回大会以来となる決勝トーナメント制覇に意気込む大阪桃次郎が、東日本リーグ4位のトヨタ自動車と対戦する。
 西日本リーグの覇者・大阪桃次郎は、ニュージーランドと並ぶ「ソフトボール王国」オーストラリアから参戦しているクリス・ケイフル、「日本代表」として世界選手権出場の経歴を持ち、今回の「日本代表候補」にも名を連ねる中村健二、中島幸紀が揃う「豪華投手陣」を擁し、打線は、ニュージーランド・ブラックソックスの一員として「世界制覇」を果たしているドニー・ヘイル。2005年の「第7回世界男子ジュニア選手権」で、今や「世界一の投手」「世界最速の右腕」として君臨するオーストラリア代表の「エース」アダム・フォーカードと「死闘」を演じて準優勝に輝き、今回の「日本代表候補」に名前の挙がる筒井拓友、澤田優生の同級生コンビ。2008年の「第8回世界男子ジュニア選手権」で高校生ながら大活躍し、「スーパー高校生」の異名をとった植田貴也ら、「ニュージーランド代表」「日本代表」「元・U19日本代表」らが揃う「タレント軍団」であり、「オールスター軍団」。この顔ぶれを見れば、誰でも「優勝候補の本命」に推したくなるというもの。
 対するトヨタ自動車は、東日本リーグでは4位に終わったが、「全日本総合男子選手権」では、決勝進出を果たし、優勝こそ逃したものの、準優勝の成績を残している。
 今や「伝説」となりつつある2000年の「第10回世界男子選手権」、日本がもっとも「世界一」に近づいた大会で「世界最強」のニュージーランド・ブラックソックスと激闘を繰り広げ、延長タイブレーカーの末、惜しくも準優勝となったチームの一員・江口真史が監督兼選手としていまだ「現役」。長く「日本代表」で活躍したユーティリティープレーヤー・西森雄が「キャプテン」としてチームを引き締め、センス抜群の山本淳、元・日本代表の父を持つ「サラブレッド」田中慎太郎ら、伝統の機動力、スピードのあるソフトボールは健在。東日本リーグ最多の85イニングを投げ抜いた「タフネス」左腕・木原道哲が試合を作ることができれば、勝機も出てくる。
 トヨタ自動車の木原道哲が序盤から大阪桃次郎の「強力打線」につかまってしまうようだと、一方的な試合展開にもなりかねない。逆に、序盤を凌ぎ、ロースコアでの競り合いに持ち込めば、トヨタ自動車「伝統」の機動力ソフトボールが生きてくる。
 立ち上がりの試合展開がどちらに転ぶかが、「勝負の分かれ目」となる可能性が高い。その意味では、一瞬たりとも目の離せない試合となりそうだ。

第4試合 15:30 試合開始予定
東日本リーグ2位 vs  西日本リーグ3位
ホンダエンジニアリング 旭化成
 東日本リーグでは最多の優勝回数・6回を誇るホンダエンジニアリングだが、決勝トーナメントでは「優勝」と縁がない。そろそろ決勝トーナメント制覇、「真の日本一」のタイトルを手にしたいところだ。
 投手陣は、元・日本代表であり、現在は日本代表の「コーチ」を務める浜口辰也が、監督となった今も「大事な試合」では、自ら登板し、「味のある」ピッチングを見せる。今シーズン、東日本リーグで防御率1位のタイトルを獲得した永吉孝臣、期待の「大型右腕」浅野公太も安定したピッチングを見せているが、「大一番」となると浜口辰也の「存在感」が輝きを放つ。もちろん、そろそろ「世代交代」を成し遂げる必要があるとは思うが、監督として、ときに選手として、浜口辰也の「顔」が相手チームの脅威ともなる。
 打線も、1試合5安打の東日本リーグ記録を樹立し、8本塁打・17打点で本塁打・打点の「二冠」を獲得。「日本代表候補」にも名前が挙がるなど、今、ノリにノッている糸瀬勇助。同じく「日本代表候補」であり、背骨が折れんばかりのフルスイングが代名詞の床井優介。「元気者」のキャプテン・加藤一秀。元・日本代表の「実力者」で今回、再び「日本代表候補」に名を連ねた浦本大嗣ら、多士済々の顔ぶれが揃っている。「悲願」の決勝トーナメント制覇へ……どんな戦いを見せてくれるか注目が集まる。
 一方の旭化成も、まだ西日本リーグでも、決勝トーナメントでも「頂点」を極めた経験はない。
 ただ、今シーズンは国体で優勝を飾るなど、「日本一」に輝いたとしても決して不思議ではない陣容は揃っている。
 打線は、前回の世界選手権で日本代表の「キャプテン」を務めた松岡真央、「右のスラッガー」川田直諒、「ハードヒッター」米良孝太は、今回も「日本代表候補」に選出されている「実力派」揃い。
 他にも、2011年の「ISF第2回ワールドカップ」で「連覇」を成し遂げたときの「日本代表」メンバーで、今回「日本代表候補」に「復帰」した上杉大輝。常に全力プレー、泥まみれのユニフォームがトレードマークの金丸祝一ら、打線は強力。ホンダエンジニアリングの投手陣を「粉砕」するような試合展開に持ち込めれば……といったところか。
 「ジャニーズ」にでもいそうなイケメン「エース」金丸昭太が踏ん張ることができれば、勝機は十分にある。

 翌日の準決勝、決勝には、まずこの1回戦をどこが勝ち抜くかによって、まったく展開が違ってくる。現時点ではまったく予測がつかないし、どこが勝っても不思議ではない。とにかく1回戦から、楽しみな対戦、目の離せない試合が続く。
 たった一球、わずか一振りで試合が決まる男子ソフトボール。その魅力を、ぜひとも、その目で観て、肌で感じてほしい。

 今年は「第47回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメント」とまったく日程が重なってしまったが……。もちろん、秋の古都・京都には世界中の人々を魅了する華やかさと雅がある。そこで繰り広げられる戦いも、華麗にして艶やかなものだろう。
 ただ……ソフトボール好きなら「古都・京都」ではなく、愛知県豊田市へ足を向けてみるのも悪くない。そこには女子のソフトボールとはまた違った「魅力」がある。新しい「発見」や「驚き」に出会えるかもしれない。
 誰もが知っている華やかな舞台ではなく、知る人ぞ知る「密やかな楽しみ」を見つけに行くのも、また一興である。

男たちの暑苦しいまでに「熱い」最後の戦いにも注目してほしい。