第41回日本男子ソフトボール東日本リーグが、4月21日(土)に開幕! シーズンの開幕となる第1節が岐阜県羽島市において開催された。
岐阜県羽島市は、今年10月6日(土)〜8日(月)、「東日本大震災復興支援 第67回国民体育大会・ぎふ清流国体」の成年男子の部を開催することが決まっており、その会場となる岐阜県羽島市・羽島市運動公園はしま清流スタジアム・多目的広場を舞台に熱戦が展開された。
今シーズンから、かつて西日本リーグ4連覇、全日本クラブ男子選手権3連覇等、各種大会で輝かしい成績を残してきた「大阪グローバル」が、2009年以来となる日本リーグ復帰。今回はチーム数の関係から東日本リーグに登録することになり、昨シーズンの7チームから1チーム増えた8チームで、従来通り2回戦総当たりのリーグ戦で覇が競われることになった。
大会初日は予定された全試合を行うことができたが、大会2日目が雨に見舞われ、中止・順延。予備日(23日/月)にその試合をスライドさせ、実施することを決定したが、翌日も天候は回復せず、今節での試合実施は不可能となり、次節以降へ延期することを余儀なくされた。
その影響で、全チーム、今節はわずか2試合しか行うことができなかったが、昨シーズン3位のデンソー、屈辱の最下位を経験したトヨタ自動車が連勝スタート。
東日本リーグ3連覇を狙うホンダエンジニアリングは1勝1敗のスタートとなり、昨シーズン2位の岐阜エコデンSC、同5位のYKK、同6位の豊田自動織機がそれに並び、昨シーズン4位で決勝トーナメント進出を果たした埼玉県庁クラブ、久々の日本リーグ復帰を果たした大阪グローバルが連敗スタートという結果となった。
今節連勝の好スタートを切ったデンソー、トヨタ自動車両チームは、ともに期待の「新世代」が台頭。デンソーは、今節初戦の豊田自動織機戦で、山脇佑也が東日本リーグ史上2人目となる完全試合を達成。奇しくも昨シーズン限りで現役引退を表明した同チームの「看板」であり、「大黒柱」であった村里和貴の背番号「11」を引き継いだ男が、その村里和貴が2007年に達成して以来、2人目となる「完全試合」の「偉業」を達成した(西日本リーグでは未だに「完全試合」の達成者は出ていない)。
デンソー・山脇佑也は、続く埼玉県庁クラブ戦でも被安打1の完封勝利。デンソーはもちろん、「日本代表」にも名を連ね、一時代を築いた好投手・村里和貴の「魂」が乗り移ったかのような好投。
戦前の評価では、「エース・村里和貴の抜けた穴は大きい」と、今シーズンのデンソーは苦しいのでは……と予想する声が多かったが、まだ2試合とはいえ、そんな評価を見事に覆す「新たなエース」出現の気配に、3年ぶりの「王座奪還」への期待が高まる。
同じく連勝スタートを切ったトヨタ自動車にも、「新世代」台頭の気配がある。昨シーズン、屈辱の最下位を経験し、指導体制も一新。かつて「日本代表」にも名を連ねた江口久雄新監督の下、溌剌としたプレーを見せた。
特に、2009年のインターハイ優勝投手である「期待の左腕」木原道哲を積極的に起用。今節初戦で強打の岐阜エコデンSCに終盤追い上げを許す薄氷を踏む思いの試合展開でも辛抱して使い続け、5−4の完投勝利。これで自信をつけたか、続くホンダエンジニアリング戦では、東日本リーグ3連覇を狙う「王者」を相手にノーヒット・ノーランを達成。デンソー・山脇佑也とともに、「新世代」台頭を予感させる好投を見せ、昨シーズンの最下位から一転、優勝戦線に割り込む勢いを感じさせる。
一方、東日本リーグ「3連覇」を狙うホンダエンジニアリングは、今節初戦の大阪グローバル戦を6−2で快勝したものの、続くトヨタ自動車戦で左腕・木原道哲を最後まで打ち崩せず、ノーヒット・ノーランの達成を許す「屈辱」の敗戦。昨シーズン、「新世代台頭」の旗手として一足先に活躍を見せた浅野公太が中嶋洋章に本塁打を浴びるなど4安打2失点。昨シーズン3勝を挙げ、ルーキーながらチームの連覇に大きく貢献した期待の本格派大型右腕が、「2年目のジンクス」に悩まされるようなことがなければよいのだが……。
ただ、ホンダエンジニアリングには、昨シーズン4勝を挙げた永吉孝臣もおり、プレーイングマネージャーでもあるベテラン・浜口辰也も要所で自ら登板する等、層の厚い投手陣が控えているだけに、今シーズンも優勝争いの「本命」であることに変わりはない。
昨シーズン2位の岐阜エコデンSCは、今秋の地元国体へ向け、順調に強化を進めている。今シーズンは、2008年のU19日本代表であり、2010年のインカレ優勝投手でもある嶋田智希が加入。課題であった投手力の補強に成功し、「今年こそは東日本リーグ初制覇!」と意気込み、地元での開幕を迎えた。
今節初戦のトヨタ自動車戦では、先発・坂本俊行、2番手・野中翔が6回までに11安打と打ち込まれ、4失点。6回裏に、西貴史のタイムリーに相手エラーが絡み、1点差に詰め寄り、7回表、逆転を期し、期待の嶋田智希を投入したが、いきなり田中慎太郎、西森雄の1・2番コンビに長短打を浴び、失点。初登板は「日本リーグの洗礼」を受け、ダメ押し点を奪われるホロ苦いデビューとなった。
しかし、続く大阪グローバル戦では、その嶋田智希をあえて先発に指名。6安打を浴びながら大阪グローバル打線に最後まで得点を許さず、完封勝利。やはり「並の新人」ではないところを見せつけた。
元々打線には定評があり、鈴木周平、横山拓、枦山竜児ら日本代表経験者が揃い、タレントは豊富なだけに、新戦力・嶋田智希が期待通りの働きを見せれば、悲願の東日本リーグ初制覇が現実味を帯びてくる。
これにYKK、豊田自動織機が1勝1敗で並んでいるが、YKKは初戦の埼玉県庁クラブ戦に12−6と大勝しながら、続く豊田自動織機戦は1−11の5回コールド負け。相変わらず好不調の波が大きく、大味な試合展開が多い。
アッと驚くような大物食いを見せるかと思えば、あっさり淡泊に大敗を喫する。それがYKKというチームの魅力でもあるのだが、上位進出、決勝トーナメント進出を狙うのであれば、その好不調の波を少しでも小さくし、勝てる試合は確実に勝っていくような安定感が求められる。
豊田自動織機も、初戦に完全試合を喫したかと思えば、次戦はコールド勝ちとYKKと同様の傾向が見られる。2008年の世界男子ジュニア選手権で「エース」として活躍した田耕児郎を「エース」として育てるべく、起用しているが、未だその力を十分に発揮しているとは言い難い。光るモノはあるだけに、もう一皮剥け、「真のエース」として独り立ちしていかないとチームの躍進も覚束ない。
野手にも力のある選手は多いだけに、その才能に磨きをかけ、フルにその実力を発揮できるよう、日々の練習を積み、才能を開花させてもらいたいものである。
昨シーズン4位の埼玉県庁クラブ、2009年以来の日本リーグ復帰となる大阪グローバルは、ともに連敗スタートとなった。
埼玉県庁クラブは、初戦のYKK戦では2回表に1イニング9失点するなど、投手陣が打ち込まれ、大敗を喫すると、続くデンソー戦では1安打と打線が沈黙。投打の歯車が噛み合わず、連敗を喫した。
一方、大阪グローバルは、日本リーグでの戦いを見据え、西日本リーグ4連覇や全日本クラブ男子選手権3連覇の「黄金時代」を知るターニー・リチャードソンを呼び寄せたが、2試合で13失点とかつての面影は感じられない出来に終始した。
「黄金時代」を支えたベテラン・小島郊正らを中心に、今後の巻き返しに期待したいところである。
この第1節で悪天候による未消化の試合が出てしまったことにより、今後のスケジュールはさらに厳しいものとなることが予想される。
連戦を戦い抜く、精神的・肉体的タフさがなければ、「リーグの頂点」には立てない。その厳しい戦いを勝ち抜き、最後に「頂点」に立つのはどのチームか。今後の各チームの戦いに期待し、注目しよう!
第2節は、6月1日(金)〜3日(日)の3日間、栃木県那須町で開催が予定されている。
第41回 日本男子ソフトボール東日本リーグ 第1節終了時点 全チーム成績 |
順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
1位 |
デンソー |
2 |
0 |
〃 |
トヨタ自動車 |
2 |
0 |
3位 |
ホンダエンジニアリング |
1 |
1 |
〃 |
岐阜エコデンSC |
1 |
1 |
〃 |
YKK |
1 |
1 |
〃 |
豊田自動織機 |
1 |
1 |
7位 |
埼玉県庁クラブ |
0 |
2 |
〃 |
大阪グローバル |
0 |
2 |
※同率の場合には、前年の順位が上のチームから順に表記しています。
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