第39回日本男子ソフトボール東日本リーグ第3節 (2010.10.13) 


ホンダエンジニアリング、12戦全勝で優勝!

ホンダは投打がガッチリと噛み合い、
無敗のまま、「頂点」へ登り詰めた

デンソーはエース・村里が「復活」
今節3勝1敗で2位の座を確保した

トヨタは今節2勝2敗と星を伸ばせず、
デンソーと同率ながら3位に甘んじた

織機は4位に滑り込み、決勝トーナメント進出

岐阜エコデンSCは4勝8敗の5位。
タレントを揃えてはいるのだが……

YKKも4勝8敗。岐阜エコデンSCと
同率で並んだが、得失点差で6位に

埼玉県庁クラブは3勝9敗の最下位に終わった

ホンダエンジニアリング
無敗のまま、頂点へ!
3年ぶりに王座奪還!!



 第39回日本男子東日本リーグ第3節(最終節)が、10月10日(日)〜12日(火)の3日間(当初予定では10月10日・11日の2日間開催の予定であったが、大会初日が明け方まで降り続いた激しい雨のため、中止・順延。予備日を使用して全日程を終了した)、埼玉県鴻巣市・フラワースタジアム・多目的グラウンドを会場に開催された。

 第2節で、開幕からの連勝を「8」に伸ばし、8戦全勝で単独首位に立ち、早くも独走態勢に入っていたホンダエンジニアリングは、今節初戦で6勝3敗の2位につけ、わずかに逆転優勝の可能性を残すトヨタ自動車と対戦。トヨタ自動車は2位とはいえ、すでに3敗を喫しており、この試合を落とすと、最終日を待たずに早くもこの時点でホンダエンジニアリングの優勝が決まってしまうという「後がない」状態での試合となった。
 試合は、先攻のホンダエンジニアリングが初回にいきなり床井優介の本塁打で2点を先制。このまま、あっさり優勝を決めるかと思われたが、トヨタ自動車もその裏すぐに反撃。2−2の同点に追いつき、「意地」を見せたが、3回表にホンダエンジニアリングが石谷彰浩、「主砲」浦本大嗣の本塁打などで4点を勝ち越し。5回表にも床井優介のこの試合2本目となる本塁打で1点を追加。7−2と大きくリードを広げた。
 しかし、逆転優勝に一縷の望みをつなぐためには、この試合に「勝つ」しか道は残されていないトヨタ自動車は、5回裏に猛反撃。一挙4点を返し、1点差まで詰め寄った。
 ここでホンダエンジニアリングは、満を持して「エース」浜口辰也を投入。6回裏、7回裏の2イニングをピシャリと締め、トヨタ自動車の逆転優勝の夢を砕き、3年ぶりの東日本リーグ優勝を手にした。
 ホンダエンジニアリングは、優勝を決めた後も、その「勢い」は衰えを知らず、岐阜エコデンSCに3−1、デンソーに10−9、豊田自動織機に8−1と3連勝を飾り、今節も負けなし。開幕から無傷の「12連勝」と突っ走り、無敗のまま、「頂点」へ登り詰めた。
 特に、打線の「核」として活躍した床井優介は、打率6割と打ちまくり、本塁打7、打点28と打撃部門すべてでトップに立ち、「三冠」を獲得。3年ぶりの王座奪還の原動力となった。

 2位には、7勝5敗のデンソー。第1節では「開幕4連勝」とホンダエンジニアリングと同じく、絶好調のスタートを切ったが、第2節で「まさか」の4連敗。エース・村里和貴の「登板不能」が響き、この時点で「東日本リーグ3連覇」の夢は潰えたといえるだろう。山田尚史、岩切厚介の若手投手を積極的に起用。世代交代を意識した選手起用の「意図」は感じられたが、「エース」浜口辰也をできる限り温存し、要所での起用に絞り、同様に「世代交代」を意識した選手起用を見せたホンダエンジニアリングが、永吉孝臣が5勝を挙げ、吉田大祐が2勝、脇田良博が1勝と「成果」を挙げたのとは対照的な結果となった。「エース」村里和貴が戦列復帰した今節は、その「エース」をフル回転させ、3勝1敗。未だに「村里頼み」の現状には、一抹の不安と物足りなさはあるが、全勝優勝を果たしたホンダエンジニアリングとの一戦では、延長タイブレイカーにもつれ込む熱戦を演じ、9−10で敗れはしたが、4−9とリードされながら、7回裏に一挙5点を挙げ、追いついた攻撃には迫力があり、東日本リーグを2年連続で制してきた「王者」としての「意地」が感じられた。決勝トーナメントでの戦いに期待したいところだ。

 3位はトヨタ自動車。7勝5敗でデンソーと同率に並んだが、直接対決での得失点差で3位に甘んじた。昨年のインターハイ優勝投手・木原道哲が加入。「期待のルーキー」がリーグデビューを飾ったが、現時点ではまだまだ十分な戦力とはいえず、浜口寿二が7勝を挙げ、投手陣の「柱」となった。
 打線には、日本代表に名を連ねるキャプテンの西森雄、元日本代表の江口真史、久雄の「江口ブラザース」、U19日本代表の経歴を持つ笠間弘太、首藤大地など、タレントはそろっているだけに、「もっとやれる」チームのはずだ。決勝トーナメントでは、レギュラーシーズンとは「一味違う」戦いを見せてくれることを期待しよう。

 4位は5勝7敗の豊田自動織機。豊田自動織機も、これまでチームの「柱」であった村上大和に代わり、田耕児郎、大塚浩平を積極的に起用。「世代交代」を意識した選手起用を見せている。しかし、まだ「安定感」に欠け、何とか4位に滑り込んだという感は否めない。攻撃陣には、日本代表の亀井博、スケールの大きなバッティングをするキャプテンの平見和紀、独特のフォームから背骨が折れんばかりのフルスイングを信条とする「切り込み隊長」森田裕介、U19日本代表の経歴を持つ下戸成之ら楽しみな選手が多い。可能性の大きさ、潜在能力の高さを感じさせる反面、粗さ、脆さが同居するチームではあるが、「ツボ」にはまったときは面白い。決勝トーナメントの「ダークホース」となれるか!? といったところか。

 第2節終了時点では、豊田自動織機と同率で並び、決勝トーナメント進出の可能性を残していた岐阜エコデンSC、YKKの両チームは、今節1勝3敗と星を伸ばせず、4勝8敗に終わり、決勝トーナメント進出は夢と消えた。岐阜エコデンSCは、鈴木周平、枦山竜児、横山拓と3人も「日本代表」を抱えながら、チームとして機能しているとは言い難い。つまらないミスが多く、勝負どころでことごとく「後手」を踏む試合展開が目につく。岐阜国体へ向け、強化が進み、今夏の全日本クラブ男子選手権では準優勝を果たし、「一皮むけたか」と期待されたが、リーグではその「進化」を最後まで感じることはできなかった。

 同じく4勝8敗のYKKは、岐阜エコデンSCと同率ながら、直接対決の得失点差で6位となった。豊田自動織機戦では一度は逆転しながら4−6で敗れ、デンソー戦は「復活」した「エース」村里和貴の前に打線が沈黙。0−2の完封負けを喫し、トヨタ自動車に10−1と大勝しながら、最終戦の埼玉県庁クラブ戦では3−10と大敗。突然、「大金星」を挙げたかと思えば、あっさり大敗も喫する。それがある意味でYKKの「持ち味」であり、「魅力」でもあるのだが、上位を狙うには、もっと勝負にこだわり、貪欲に勝利を求めるメンタリティが必要なのではないだろうか。

 地元で巻き返しを図った埼玉県庁クラブは今節1勝3敗。3勝9敗の最下位に終わった。エース・吉形太佑をはじめ、個々の選手の能力は高いものがあるだけに、この結果は残念でならない。来シーズン、捲土重来を期してほしいものである。

 各チームの最終成績は下記の通りで、上位4チームは11月13日(土)・14日(日)の両日、愛知県刈谷市で開催される決勝トーナメントに進出。「最後の決戦」に臨むことになる。


■第39回日本男子ソフトボール東日本リーグ 最終成績・順位

1位 ホンダエンジニアリング 12勝0敗
2位 デンソー 7勝5敗
3位 トヨタ自動車 7勝5敗
4位 豊田自動織機 5勝7敗
5位 岐阜エコデンSC 4勝8敗
6位 YKK 4勝8敗
7位 埼玉県庁クラブ 3勝9敗

※2位・3位、5位・6位はリーグ規定により、当該チーム同士の対戦の得失点差で決定。