第36回 日本男子ソフトボールリーグ 決勝トーナメント
(2007.10.23)
デンソーが激戦の末、決勝トーナメントを制覇!
決勝トーナメント「連覇」をめざした西日本シロアリだったが…
初戦を突破した高知パシフィックウェーブも、デンソーに惜敗
地元・トヨタ自動車を下し、3位に入ったダイワアクト
主砲・中村の「一振り」が試合を決めた
決勝まで好投を続けた、大阪ツヅキグローバル・照井
デンソー、「真の日本一」に輝く
デンソー、歓喜の初優勝!
第36回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントが、10月20(土)・21(日)の2日間、愛知県豊田市(豊田市運動公園ソフトボール場)を会場に開催され、デンソーが激戦を制し、悲願の初優勝を飾った。
決勝トーナメントには、男子東日本リーグ・西日本リーグの上位4チーム(計8チーム)が出場。男子ソフトボール「真の日本一」の座を賭けた日本最高峰の戦いが繰り広げられた。今大会は、昨年この決勝トーナメントを制し、初の王座に輝いた西日本シロアリの「二連覇」なるか。また、日本代表の二枚看板、浜口・中島投手を擁し、東日本リーグでは圧倒的な強さで連覇を達成。決勝トーナメントでの「リーグ完全制覇」を狙うホンダエンジニアリング。エース・照井を軸に、打者では石村、鈴木、現役ニュージーランド代表のヘイルといったリーグ屈指の強打者を揃え、昨年の雪辱を誓う西日本リーグの覇者、大阪ツヅキグローバルなど東西8チームによる「最後の決戦」が行われた。
大会初日、第1試合では今シーズンの東日本リーグ覇者、ホンエンジニアリングと、西日本リーグ4位で決勝トーナメントへ進出した高知パシフィックウェーブが対戦。両チームの先発、ホンダエンジニアリング・浜口、高知パシフィックウェーブ・大木の力投で試合は白熱の投手戦になるが、高知パシフィックウェーブが数少ないチャンスを確実にモノにし、1−0で勝利。第2試合では、昨年の決勝トーナメントを制し、「二連覇」をめざす西日本シロアリがデンソーと激突。試合は序盤に西日本シロアリが、小原、畠らのタイムリーで3点のリードを奪うが、バッテリーの乱れもあり、終盤に痛い失点。土壇場でデンソーが同点に追いつき、試合は延長タイブレーカーに突入。結果、8回裏にデンソーが杉浦のサヨナラタイムリーで決勝点を挙げ、昨年の王者から勝利をもぎ取った。また第3試合では、ダイワアクトが地元・トヨタ自動車に4−2で勝利。第4試合では、大阪ツヅキグローバルが豊田自動織機を2−0で下し、翌日の準決勝へ駒を進めた。
準決勝では、まず第1試合で高知パシフィックウェーブとデンソーが対戦。試合序盤から高知パシフィックウェーブ・山尾、デンソー・村里両投手の緊迫した投手戦が展開された。試合が動いたのは5回裏、デンソーはこの回先頭の6番・末次が二遊間安打で出塁。さらに死球で一死一・二塁とし、次打者の初球にダブルスチールを成功させプレッシャーをかけると、ここで1番・稲木が三遊間を破る2点タイムリー。6回表に1点を返されるが、エース・村里が粘り強いピッチングでこのリードを守り抜き、決勝進出を果たした。
準決勝第2試合では、大阪ツヅキグローバルとダイワアクトが対戦。大阪ツヅキグローバルは初回、一死一・二塁のチャンスに4番・小島の左越三塁打でいきなり2点を先制。これで勢いに乗ると、4回表には8番・佐々木のタイムリー、5回表には1番・石村のセンターバックスクリーン直撃の特大ホームランなどで4点のリードを奪い着々と加点。守っては、エース・照井が内角、外角のコーナーを丁寧に投げ分け、11三振を奪う好投でダイワアクトの反撃を1点に抑え、順当に決勝へ勝ち上がった。
決勝戦は、大阪ツヅキグローバル対デンソー。共に東西のリーグを代表するチーム同士の対戦となった。大阪ツヅキグローバル・照井、デンソー・村里、日本を代表する好投手を両チームの打線がいかに攻略し、得点を奪うのか大きな注目が集まった。しかし、予想とは反していきなりデンソーが先手を取る。初回に、1番・稲木の強烈なセカンドゴロが相手守備のグラブをはじき、先頭打者が出塁。犠打で手堅く送り、内野ゴロで稲木は三進。ここでチームの頼れる主砲、4番・中村が照井の2球目を完璧にとらえ、左中間スタンドにたたき込む先制のツーランホームラン。チームのキャプテンを務める中村の「一振り」が完全にデンソーに流れを引き寄せた。3連投となったエース・村里は、連投の疲れも見せずこの試合も登板。日本代表の絶対的なエースとして、世界の大舞台でも自らの勝負球としてきた得意のライズボールを主体に、膝元に鋭く落ちるドロップ、さらに打者によっては巧みに緩急を使い分けるなど幅広いピッチングを展開し、5回には五者連続三振を奪う貫禄の投球内容。初回のリードを最後まで守り抜き、東日本リーグ勢としては初の「決勝トーナメント制覇」を成し遂げた。
一方、投打に安定した力を見せ、リーグ屈指の攻撃力を誇る大阪ツヅキグローバルも、何とか反撃の糸口を見つけようと必死に食らいついたが、デンソー・村里の球威、コントロール、ボールのキレが一枚上回り、ここまで幾度となく相手投手を打ち崩してきた自慢の打線もわずか2安打と完璧に抑え込まれた。
チームが劣勢に立たされた時、ここぞという場面で流れを引き寄せたい時、その真価が問われるのは、やはりチームの「エース」であり「4番」である。苦しい時こそ頼られる、チームの大黒柱ゆえの「宿命」ではあるが、逆にそれを自らの発奮材料とし、しっかりと「結果」で示さなければ決して勝利はつかめない。あらゆる逆境を跳ね返し、ついに悲願の決勝トーナメント初優勝を成し遂げたデンソー。「絶対に勝つ!」大舞台でのエースと主砲の活躍が、チームを優勝へと導いた。