日本にとっての“初日”となった大会第2日、スタジアムIIの第2試合でニュージーランドと対戦した。 この試合の焦点は、ニュージーランドの関係者が「リサ・フェルナンデス並みの逸材」と期待を寄せるミッシェル・キンギを日本打線がどう攻略するかにあったが、ニュージーランドはエースの先発を回避。前日の開幕戦に登板したためか、あるいは決勝トーナメントでの日本との対戦を考えてのことか不明だが、この時点で「勝負あった」といっても過言ではなかった。 日本は初回、先発・伊藤が立ち上がりを無難に乗り切ると、その裏、すかさず打線が援護。先頭打者・本田がセンター前ヒットで突破口を開き、2番・増山が手堅く送って一死二塁とすると、3番・狩野がしぶとくレフト前に先制のタイムリー。あっさり先取点を挙げた。 3回、伊藤がニュージーランド打線に3本の長短打を浴びて一度は同点に追いつかれたが、その裏すぐに突き放す。この回先頭の9番・池田が三・遊間深くに転がる打球を放ち、一塁へ執念のヘッドスライディング。気合いで相手遊撃手の失策を誘い、無死二塁のチャンスをつかんだ。一死後、2番・増山が絶妙のセーフティーバントで一・三塁とチャンスを広げ、すかさず盗塁。3番・狩野が三塁線を鋭く破る二塁打を放ち、2点を勝ち越した。さらに二死後、5番・島袋、6番・小幡が連続三塁打。この回一挙4点を挙げ、一気に試合の流れを引き寄せた。 さらに6回には、一死から1番・本田がセンター前ヒット。2番・増山もサード強襲安打で続き、3番・狩野のセカンドゴロで二死二・三塁とした後、4番・坂本がライト線を痛烈に破る走者一掃の三塁打。さらに代打・鈴木がセンター前に弾き返し、コールドとなる8点目を叩き出した。 守っては、伊藤、山の投手リレーでニュージーランド打線を3回の1点のみに封じ、余裕の試合運びで完勝した。
第2日 予選リーグ第2戦 (10月14日/火) 15時試合開始 (第2試合)
すでに2敗を喫して元気のない韓国とは、勢いも実力もすべてに大きな差があった。 日本は先発・坂本が韓国打線を簡単に三者凡退に退け、上々の立ち上がり。その裏、打線もすぐにそれに応え、1番・本田が左中間を深々と破る三塁打。2番・増山が四球で歩き、一・三塁とすると、3番・狩野がキッチリと中犠飛を打ち上げ、1点を先制。この本塁送球の間に増山が一気に三塁へ進み、この試合スタメン4番・ライトに起用された山が痛烈なセンター前ヒット。この回2点を先制した。 続く2回には、一死から9番・坂本が死球で出塁。1番・本田が再び左中間を破る三塁打を放ち、1点を追加。2番・増山が四球を選び、すかさず盗塁で二・三塁とチャンスを広げ、3番・狩野がまたしてもセンターへ犠牲フライ。初回のリプレイを見るような攻撃で2点目を挙げ、4番・山がレフト前にタイムリー。この回3点を追加した。 3回には、6番・鈴木、7番・黒川の連続四球で無死一・二塁とし、8番・大内田のセンター前ヒットでまず1点。9番・坂本の四球で満塁とし、1番・本田がライト前に2点タイムリー。なお無死二・三塁と攻め立て、2番・増山のレフト前ヒットでさらに2点を追加。3番・狩野、途中から4番に入った藤野の内野ゴロの間に増山もホームを踏み、この回大量6点を加え、試合を決めた。 守っては、坂本、岩井の投手リレーで韓国打線をパーフェクトに抑え、2勝目を挙げた。
第3日 予選リーグ第3戦(10月15日/水) 9時試合開始 (第3試合)
この日の日本は昨日に引き続き、ダブルヘッダー。9時からの第1試合で、ここまで韓国を7−0、チェコを4−2で下し、日本と同じ2戦2勝と好調なオーストラリアと対戦した。 日本はオーストラリアのエース・JOCELYN McCALLUMに、立ち上がりから8連続三振を奪われ、9番・藤野のセカンドフライでようやく連続三振だけはストップしたが、3回まで一人の走者も出すことができず、完全に抑え込まれていた。 一方、日本の先発・山は、初回、2回は二死二塁、3回は無死二塁と得点圏に走者を背負う苦しいピッチング。しかし、オーストラリアの二度の送りバント失敗にも助けられ、何とか序盤3回を無得点で切り抜けた。 試合が動いたのは4回、日本は一死から2番・増山がファウルで粘り、15球目を三・遊間突破安打。この粘りが試合の流れを変え、3番・狩野が痛烈に右中間を破る二塁打で続き、一死二・三塁。期待の4番・坂本が三振に倒れ、チャンスを潰したかに見えたが、5番・島袋への初球がまさかのワイルドピッチ。思いも寄らぬ形で先取点が転がり込んだ。これに気落ちしたのか、島袋は結局四球。二死一・三塁とすると、6番・大内田の初球にダブルスチールを敢行。相手守備陣のミスを誘い、貴重な追加点。この回2点を挙げ、試合の主導権を握った。 オーストラリアも必死の反撃を試みるが、尻上がりに調子を上げた山が4回以降はすべて三者凡退に退け、最後まで得点を許さず完封勝利を収めた。 日本はこれで快調に3連勝! 当面のライバルに快勝し、予選リーグ1位通過が見えてきた。
第3日 予選リーグ第4戦 (10月15日/水) 15時30分試合開始 (第4試合)
第4日 予選リーグ第5戦(10月16日/木) 19時試合開始 (第5試合)
スタジアムに一歩足を踏み入れると、鳥肌が立った。スタンドはもちろん超満員、立錐の余地もなく、スタンドに入りきれなかった観客は、スタジアムのレフト後方の丘陵に列を連ねる。人また人……。大会の視察に訪れた日本女子ナショナルチーム・宇津木妙子監督でさえ、「こんな雰囲気……オリンピックでも経験したことがない」と絶句するほど、中国の応援一色に染まったスタンドは異様なほどの盛り上がりを見せていた。 中国選手団がプレイングフィールドに姿を現すと、スタンドのボルテージは最高潮に達し、中国選手団の士気を鼓舞する歌の大合唱がはじまった。怒号のような歌声が、絶叫のような歓声が、スタジアム中を支配し、うねりとなって日本選手団に浴びせられる。“アウェー”という言葉の意味を初めて思い知らされた。 予選リーグA・POOLの最大の山場、ここまで4戦全勝同士の対決は、日本の後攻ではじまり、渡辺監督は坂本、鹿島の高校生バッテリーをこの大一番に送り出した。 嵐のような歓声、止むことのない喧噪にも、この若いバッテリーはまったく動じる様子はない。先頭打者をショートゴロ、2番打者をファーストゴロ、3番打者を三振に打ち取り、立ち上がりを無難にまとめると、ここから“奪三振ショー”がはじまった。2回は4番、5番、6番を三者連続三振。3回も7番、8番を連続三振に切って取り、実に6連続奪三振。9番打者に初ヒットを許し、連続三振はストップしたが、十分過ぎる立ち上がりで意気込む中国の出鼻をくじいた。 高校生がこれだけのピッチングを見せては打線も黙ってはいられない。3回裏、この回先頭の7番・黒川が気合いで中前に弾き返し、突破口を開く。8番・山の投ゴロで走者が入れ替わった後、9番・藤野がキッチリと犠打で送り、二死ながら走者をスコアリングポジションに進めた。1番・本田が四球で歩き、2番・増山のプッシュバントが内野安打となって二死満塁とチャンスを広げ、3番・狩野が二・遊間をゴロで抜けるタイムリー。三塁走者、二塁走者に続き、一塁走者の増山までもが俊足を飛ばして一気にホームイン。満員のスタンドを黙らせる“スーパープレイ”で一挙3点を先制した。なお二死二塁とチャンスは続き、すかさず狩野が三盗。浮き足立つ中国守備陣を尻目に、4番・坂本が力でレフト前に運び、4点目を挙げた。 5回には、1番・本田がレフト前ヒット。2番・増山の送りバントが犠打失策となり、無死一・三塁。さらに盗塁で二・三塁とすると、3番・狩野が左中間へ二塁打。2点を追加し、4番・坂本が手堅く送った後、5番・島袋がキッチリと中犠飛を打ち上げ、コールドとなる7点目を挙げた。 注目の全勝対決も終わって見れば5回コールド勝ち。5連勝で予選リーグA・POOLの1位通過がほぼ決定した。完全アウェーをものともしない精神力。“ここぞ”という場面での集中力の高さ。渡辺監督の緻密な戦略とそれに応える選手たち。個々の能力の高さと確かな技術に裏打ちされた自信。日本の底知れぬ強さを改めて感じた一戦だった。
第5日 予選リーグ第6戦(10月17日/金) 13時試合開始 10月17日(金)/予選リーグ (第6試合)
予選リーグ星取表
決勝トーナメント日程・結果
第6日 決勝トーナメント1位・2位戦(10月18日/土) 18時試合開始 10月18日(土)/決勝トーナメント (第7試合)
第7日 決勝トーナメント2回戦(10月19日/日) 18時試合開始 10月19日(日)/決勝トーナメント (第8試合)
第8日 決勝トーナメント・ゴールドメダルゲーム(10月20日/月) 13時30分試合開始 10月20日(月)/決勝トーナメント (決勝)