第2回世界大学女子選手権大会
開催地:台湾・台南市
大会期日:2006年7月15日(土)?23日(日)


■決勝トーナメント


最 終 順 位
優勝
アメリカ
準優勝
台湾
3位
日本
4位
オーストラリア
5位
タイ
6位
南アフリカ


また、日本選手が2名個人賞を受賞しました。
■第2回世界女子大学選手権大会 個人賞

●打撃部門
打点王/小柳  薫(東京女子体育大)

●投手部門
最多奪三振/藤原麻起子(東北福祉大)


▲銅メダルを胸に






■大会第1日:7月17日(月) [予選リーグ第1戦:日本 vs 南アフリカ]

▲開幕投手を務めた藤原

▲4打数4安打・本塁打1・打点6と大活躍の小柳

 台風の直撃を受け、その影響で激しい雨が降り続き、2日間順延を余儀なくされたこの大会もようやく開幕を迎えた。大会直前になって大会出場をキャンセルする国もあり、急遽、日本、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、タイ、台湾の6カ国によるダブルラウンドロビン(2回戦総当たりのリーグ戦)に組み直されたが、思いも寄らぬ台風の襲来で、大会スケジュールは二転三転。結局、6カ国でのシングルラウンドロビン(1回戦総当たりのリーグ戦)で予選リーグを行い、ページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)による決勝トーナメントで最終順位を決定する形に落ち着いた。また、この大会のために新設された台南の和順寮ソフトボールスタジアムは悪天候によるグラウンドコンディションの不良で試合を行うことができず、会場を高雄に移して試合を行うことになった。
 大会初日、日本はこの日の第2試合で南アフリカと対戦した。
 先攻の日本は初回、1番・平林が初球をいきなりセーフティーバント。相手守備陣を混乱に陥れ、一塁に生きると、2番・高橋が手堅く送りバント。一塁走者・平林は相手守備陣の一瞬の隙を見逃さず、一気に三塁まで進塁すると、ワイルドピッチでアッという間に先取点。さらに3番・小柳がライトスタンドへ豪快な一発を放り込み、この回2点を先制した。2回表には、4安打を集中して3点を加えると、3回表には4番・内田のツーランを含む7本の長短打で大量8点を追加。4回表にも9番・舟木の三塁打を足掛かりに、1番・平林、2番・高橋、3番・小柳の3連打で2点を加え、南アフリカを圧倒した。
 守っては、エース格として期待される藤原、上村が安定したピッチングを見せ、最後は山口がキッチリと締め、大事な初戦を最高の形でモノにした。
 明日は予選リーグの山場となる台湾、アメリカとのダブルヘッダーが待っている。前回大会ではこの2チームの後塵を拝しているだけに何としても雪辱を果たしたい相手だ。また、優勝を狙うためには乗り越えなければならない相手でもある。チームの仕上がりは上々、初戦の勢いもある。強豪相手に連勝して一気に優勝まで突っ走りたいところだ。




1 2 3 4
日   本 2 3 8 3 16
南アフリカ 0 0 0 0 6

※大会規定により得点差コールドゲーム
(日)○藤原(2回)・上村(1回2/3)・山口(1/3)−村中(3回)・鹿島(1回)
〔本塁打〕小柳、内田  〔三塁打〕舟木  〔二塁打〕鈴木


◇予選リーグ第1戦(南アフリカ戦)スターティングラインアップ

1番・レフト 平林真由子 (園田学園女子大)
2番・ショート 高橋あゆみ (日本体育大)
3番・DP 小柳  薫 (東京女子体育大)
4番・ファースト 内田千恵美 (早稲田大)
5番・セカンド 鈴木 紅美 (日本体育大)
6番・サード 中野 久美 (東京女子体育大)
7番・キャッチャー 村中  梢 (東北福祉大)
8番・ライト 西川 友理 (東京女子体育大)
9番・センター 舟木 千恵 (大阪国際大)
DEFO(ピッチャー) 藤原麻起子 (東北福祉大)

※選手交代
3回表 村中OUT→池原  恵 (園田学園女子大) IN ※代打
3回裏 藤原OUT→上村さつき (大阪大谷大) IN ※投手交代
池原OUT→村中  梢 (東北福祉大) IN ※キャッチャーにリエントリー
4回表 鈴木OUT→加藤 恵理 (東北福祉大) IN ※代打
4回裏 村中OUT→鹿島  唯 (日本体育大) IN ※キャッチャーに入る
代打の加藤がそのままセカンドの守備位置へ
上村OUT→山口 憲子(園田学園女子大) IN ※投手交代





■大会第2日:7月18日(火) [予選リーグ第2戦:日本 vs 台湾]

▲先制打を放った小柳

▲リリーフした上村も力投したが……

 大会2日目、前日の高雄から本来の開催地である台南に試合会場が移され、この大会のために新設された和順寮ソフトボール場で試合が行われた。
  この日の日本は、台湾、アメリカとのダブルヘッダー。前回の準優勝、優勝チームであり、今大会でも優勝候補に挙げられる両チームとの連戦という厳しいスケジュールが組まれた。
  先攻の日本は初回、1番・平林がしぶとく二遊間を破り、2番・高橋がキッチリと送りバントを決め、二死後、今大会大当たりの4番・小柳がセンター前へはじき返し、まず1点を先制。さらに四球、敵失で二死満塁と攻め立て、7番・中野がレフト前へタイムリー。二者を迎え入れ、この回3点を先制した。続く2回表には9番・舟木の左中間二塁打を足掛かりに、相手守備の乱れに乗じて1点を追加。序盤で4点のリードを奪い、楽勝ペースかと思われた。
  しかし、4回裏、先頭打者のレフト線のファウルフライをレフト・平林が追いつきながら落球。命拾いした打者に右中間三塁打を打たれ、三塁線へのきわどい打球がフェアと判定され、1点を失うと、6回裏にも3安打で1点を返され、二死一・二塁から右中間へのフライをセンター・舟木、ライト・内田が交錯して落球。急造チームにありがちな連係のミスが大事な場面で出てしまい、同点に追いつかれた。
  4?4の同点のまま、延長タイブレーカーに入った8回表、日本は8番・村中が送りバントを決め、一死三塁。9番・舟木のところでヒットエンドランを仕掛けたが外され、万事休すと思われた。しかし、飛び出した三塁走者を刺そうとした捕手の送球が大きく逸れ、三塁走者が生還。日本が1点を勝ち越した。
  台湾はその裏、タイブレーカーの走者を手堅く犠打で三塁へ進め、次打者の三塁線への当たりは明らかなファウルと思われたが、これもフェアの判定。同点に追いつかれ、なお一死二塁のピンチが続く。二死後、一塁手前へのボテボテのゴロがきわどいタイミングとなり、一塁ベースカバーに入った鈴木が「セーフ」のコールに一瞬の振り向いた隙を突かれ、二塁走者が一気にサヨナラのホームイン。4点差をひっくり返され、あまりに痛い1敗を喫した。


1 2 3 4 5 6 7
日   本 3 1 0 0 0 0 1 5
台   湾 0 0 1 0 3 0 2X 6

(日)藤原(4回)・上村(1回2/3)・●藤原(2回)−村中(7回)
〔二塁打〕舟木

◇予選リーグ第2戦(台湾戦)スターティングラインアップ

1番・レフト平林真由子 (園田学園女子大)
2番・ショート高橋あゆみ (日本体育大)
3番・セカンド鈴木 紅美 (日本体育大)
4番・ファースト小柳  薫 (東京女子体育大)
5番・ライト内田千恵美 (早稲田大)
6番・DP池原  恵 (園田学園女子大)
7番・サード中野 久美 (東京女子体育大)
8番・キャッチャー村中  梢 (東北福祉大)
9番・センター舟木 千恵 (大阪国際大)
DEFO(ピッチャー)藤原麻起子 (東北福祉大)

※選手交代
5回裏藤原OUT→上村さつき(大阪大谷大) IN ※投手交代
6回表村中OUT→竹川 裕香(福岡大) IN ※代打
 竹川OUT→加藤 恵理(東北福祉大) IN ※代走
6回裏加藤OUT→村中  梢(東北福祉大) IN ※キャッチャーにリエントリー
 上村OUT→藤原麻起子(東北福祉大) IN ※ピッチャーにリエントリー





■大会第2日:7月18日(火) [予選リーグ第3戦:アメリカ vs 日本]

▲4回裏、中野のタイムリーで同点に追いつく


▲3投手の継投で王者・アメリカの強力打線をかわしていたが……

 台湾戦で手痛い逆転負けを喫した日本だが、そのショックを引きずることなく、王者・アメリカに挑んだ。
 日本の先発は上村。3回表、8番・バルコに本塁打を浴びたものの、毎回のように得点圏に走者を背負いながら、粘りのピッチングで追加点を許さず、味方打線の援護を待った。
 日本は4回裏、この回先頭の3番・鈴木がセンター前へクリーンヒット。4番・小柳のファーストゴロの間に二塁へ進み、5番・内田のセカンドゴロが敵失を誘い、一・三塁。ここで7番・中野が三塁頭上をワンバウンドで越えるタイムリーを放ち、同点に追いついた。なお一死一・二塁と勝ち越しのチャンスが続き、「ここが勝負」と代打攻勢を仕掛けるが、加藤が三振、池原がショートゴロに倒れ、同点止まり。一気に試合の流れを引き寄せることができなかった。
 アメリカは6回表、リリーフした藤原を攻め、安打、犠打で一死二塁とすると、代打・ミランダが左中間を鋭く破る二塁打を放ち、勝ち越し。二死後、9番・ディクソンが力で運ぶポテンヒット。ショート・高橋が懸命にダイビングキャッチを試みたのがわずかにおよばず、2点のリードを奪われた。
 日本は6回裏、相手投手の制球の乱れにつけ込み、死球、2つのワイルドピッチなどで1点を返す粘りを見せたが、反撃もここまで。7回表に決定的な1点を失い、力尽きた。
 予選リーグの「山場」と目された台湾、アメリカとのダブルヘッダーでの連敗。優勝を争う相手との直接対決での連敗は確かに痛い。これで2位以上での決勝トーナメント進出の可能性はほとんど消えた。ただ優勝の可能性が消えたわけではない。3位・4位から優勝まで登り詰めるのは厳しい道のりと言わざるを得ないが、たとえ厳しい道のりでもその可能性はゼロではない。台湾との試合は内容的には完全な勝ち試合だった。アメリカにも最後は力負けしたとはいえ、十分に手応えを感じさせてくれた。何より……まだ選手たちの心は折れていない。台湾戦の最後で致命的なミスを犯した鈴木が、王者・アメリカを相手に「意地」で2安打を放って見せた。台湾戦でリリーフに失敗した上村が何度もアメリカの強力打線に飲み込まれそうになりながら必死で耐え抜くピッチングを見せた。そして……ゲームセットの瞬間まで誰一人勝利をあきらめていなかった。まだ優勝はある。そう信じさせる「何か」がこのチームにはある。



1 2 3 4 5 6 7
アメリカ 0 0 1 0 0 2 1 4
日   本 0 0 0 1 0 1 0 2
(日)上村(4回1/3)・●藤原(2回1/3)・成田(1/3)−村中(7回)


1番・レフト平林真由子 (園田学園女子大)
2番・ショート高橋あゆみ (日本体育大)
3番・セカンド鈴木 紅美 (日本体育大)
4番・DP小柳  薫 (東京女子体育大)
5番・ファースト内田千恵美 (早稲田大)
6番・サード中野 久美 (東京女子体育大)
7番・キャッチャー村中  梢 (東北福祉大)
8番・ライト西川 友理 (東京女子体育大)
9番・センター舟木 千恵 (大阪国際大)
DEFO(ピッチャー)上村さつき (大阪大谷大)

※選手交代
4回裏村中OUT→加藤 恵理(東北福祉大) IN ※代打
 西川OUT→池原  恵(園田学園女子大) IN ※代打
5回表加藤OUT→村中  梢(東北福祉大) IN ※キャッチャーにリエントリー
 池原OUT→西川 友理(東京女子体育大) IN ※ライトにリエントリー
 上村OUT→藤原麻起子(東北福祉大) IN ※投手交代
7回表藤原OUT→成田 春菜(冨士大) IN ※投手交代





■大会第3日:7月19日(水) [予選リーグ第3戦:タイ vs 日本]

▲日本らしいソツのない攻めで快勝!


▲日本は継投策でタイを完封。決勝トーナメント進出が確定した

 大会3日目、前日痛い連敗を喫した日本はタイと対戦。決勝トーナメントへ向け、もう一度チームを立て直すために、内容の伴った試合をしておく必要がある。
 日本の先発はエース・藤原。この試合が決勝トーナメントへ向けた「新たなスタート」になる。あえてエースを先発させた裏には、舟山ヘッドコーチのそんな決意、選手へ向けたメッセージが込められていた。
 藤原は期待に応え、三振、ショートゴロ、三振と完璧な立ち上がり。テンポのよいピッチングで「日本のリズム」を作り出した。  日本はその裏、1番・平林が四球で歩き、2番・高橋が手堅く送りバント。一塁走者・平林は相手守備陣の一瞬の隙を見逃さず、一気に三塁を陥れ、先制機をお膳立てした。3番・内田も四球を選ぶと、4番・小柳の初球にダブルスチール。日本らしい機動力を生かしたソツのない攻めで先取点を挙げると、4番・小柳が一塁手のグラブを吹っ飛ばす強烈な当たりのタイムリーを放ち、この回2点を先制した。続く2回裏には、この回先頭の9番・舟木が三遊間を破る安打で出塁すると、1番・平林、2番・高橋がバントで揺さぶり、1点を追加。さらに3番・内田、4番・小柳の長短打で3点を加え、二死後、7番・加藤が右中間を深々と破る三塁打を放ち、1点を追加。この回大量5点を挙げ、序盤で勝負を決めた。
 守っては、藤原、成田、山口とつなぐ投手リレーでタイ打線に得点を許さず、10?0の5回コールドで今大会2勝目を挙げた。
 大会3日目を終え、予選リーグはアメリカ、台湾が無傷の4連勝で首位に並び、2勝2敗の日本はオーストラリアと並んで3位タイにつけている。タイ、南アフリカは勝ち星なしの4連敗となり、予選リーグ最終日を待たずに日本の決勝トーナメント進出が決まった。
 日本はすでに2敗しているため、3位もしくは4位での決勝トーナメント進出となり、予選リーグ最終戦で対戦するオーストラリアと決勝トーナメントの初戦でも再び顔を合わせることになる。
 1位・2位での決勝トーナメント進出と違い、3位・4位には敗者復活のチャンスは与えられていない。決勝トーナメントでの敗戦は、予選リーグと違い、文字通り「戦いの終わり」を意味する。勝つことによってのみ、道は開かれる。ただ、勝ち上がれば予選リーグで敗れた台湾、アメリカに「リベンジ」のチャンスが回ってくる。最後に笑うのはどのチームか。「本当の勝負」がこれからはじまる。




1 2 3 4 5
タ  イ 0 0 0 0 0 0
日   本 2 5 2 1 X 10
※大会規定により得点差コールドゲーム
(日)藤原(2回)・○成田(2回)・山口(1回)−鹿島(5回)
〔三塁打〕加藤  〔二塁打〕内田、小柳

◇予選リーグ第4戦(タイ戦)スターティングラインアップ
1番・レフト平林真由子 (園田学園女子大)
2番・ショート高橋あゆみ (日本体育大)
3番・ライト内田千恵美 (早稲田大)
4番・ファースト小柳  薫 (東京女子体育大)
5番・DP池原  恵 (園田学園女子大)
6番・サード中野 久美 (東京女子体育大)
7番・セカンド加藤 恵理 (東北福祉大)
8番・キャッチャー鹿島  唯 (日本体育大)
9番・センター舟木 千恵 (大阪国際大)
DEFO(ピッチャー)藤原麻起子 (東北福祉大)

※選手交代
2回裏中野OUT→竹川 裕香(福岡大) IN ※代打
3回表藤原OUT→成田 春菜(富士大) IN ※投手交代
  代打・竹川がそのままサードの守備に入る
4回表内田OUT→西川 友理(東京女子体育大) IN ※ライトの守備に入る
 竹川OUT→加藤 恵理(東北福祉大) IN ※代走
5回表成田OUT→山口 憲子(園田学園女子大) IN ※投手交代
  DP・池原がショートの守備に入り、ショート・高橋がライトへ。
ライト・西川は打撃のみの選手となる。





■大会第4日:7月20日(木) [予選リーグ第5戦(最終戦):オーストラリア vs 日本]

▲予選リーグ最終戦を「日本らしい戦い方」で締めくくった


▲チームリーダー・鈴木のタイムリーが勝負を決めた

 大会4日目、予選リーグも最終日を迎えた。前日までに決勝トーナメントへ進出する4チームは決まっており、この予選リーグ最終戦のカード(アメリカ対台湾、日本対オーストラリア)が、それぞれ決勝トーナメントの初戦の組み合わせとなるとあって、各チームとも虚々実々の駆け引きを水面下で行っていた。明日の決勝トーナメントをいかに有利に戦うか、すでにそこに焦点が絞られていた。
 第1試合、アメリカ対台湾の一戦は台湾が4?2で勝ち、予選リーグ1位通過を決めた。地元の圧倒的な声援を背に戦う台湾は、その勢いを止めることなく決勝トーナメントを戦うことを選択し、アメリカは「決勝トーナメントで有利に戦える2位以上の座はすでに確保した(予選リーグを1位もしくは2位で通過すれば、たとえ一度敗れても敗者復活戦に回る権利が得られる)。この試合の勝敗は関係ない」と、アメリカらしい合理的精神を貫き、徹底的に手の内を隠したまま、予選リーグの戦いを終えた。
 日本とオーストラリアもすでに決勝トーナメント進出が決まっており、この試合の勝敗は実質的な意味を持たない。しかし、予選リーグの最後をいい形で締めくくれるか、負けて悶々と一夜を過ごすか、このあたりは心理的には微妙なものがある。かといって手の内を晒すようなこともしたくない。できれば余力を持って決勝トーナメントへ臨みたい。こんな両チームの思惑が交錯する中、試合がはじまった。
 日本の先発は成田。藤原、上村の「二枚看板」は温存した上で、今大会の「秘密兵器」的な存在の成田を予選リーグ最終戦で先発に使ってきた。
 その成田は、三振、ピッチャーゴロ、サードゴロとオーストラリア打線を三者凡退に切って取る落ち着いた立ち上がりを見せ、無難に試合をスタートさせた。
 日本は2回裏、5番・内田が意表を突くセーフティーバントで出塁。6番・加藤がキッチリと送りバントを決め、一死二塁とチャンスを広げた。ここで7番・中野がレフト線を破る先制の二塁打を放ち、先取点を挙げた。4回裏には、一死から4番・小柳が右中間を深々と破る三塁打を放ち、二死後、6番・加藤への2球目がワイルドピッチとなり、2点目。さらに5回裏には、二死一・三塁から3番・鈴木がレフト線へタイムリー。この打球の処理を誤る間に一塁走者までホームを踏み、この回2点を加えた。
 しかし、オーストラリアも粘る。6回表、力投の成田をとらえ、3本の長短打を集中して2点を返し、なお一死二塁と攻め立てた。日本はここで成田をあきらめ、山口を投入。山口はこのピンチにも動ぜず、三振、レフトファウルフライに後続を打ち取り、オーストラリアの反撃を断った。7回表も二死から四球、安打で一・二塁のピンチを迎えたが、最後の打者を三振に仕留め、予選リーグ最終戦を勝利で飾った。
 日本はこれで3勝2敗の3位で予選リーグを通過。明日の決勝トーナメントでは、再びオーストラリアと対戦することになる。負ければ終わりの一発勝負。いよいよ大会もクライマックスを迎える。



1 2 3 4 5 6 7
オーストラリア 0 0 1 0 0 2 0 2
日   本 0 1 0 1 2 0 X 4
(日)○成田(5回1/3)・山口(1回2/3)−村中(7回)
〔三塁打〕小柳  〔二塁打〕中野

◇予選リーグ第5戦(オーストラリア戦)スターティングラインアップ
1番・レフト    平林真由子 (園田学園女子大)
2番・ショート   高橋あゆみ (日本体育大)
3番・セカンド   鈴木 紅美 (日本体育大)
4番・ファースト  小柳  薫 (東京女子体育大)
5番・ライト    内田千恵美 (早稲田大)
6番・DP     加藤 恵理 (東北福祉大)
7番・サード    中野 久美 (東京女子体育大)
8番・キャッチャー 村中  梢 (東北福祉大)
9番・センター   舟木 千恵 (大阪国際大)
DEFO(ピッチャー) 成田 春菜 (富士大)

※選手交代
6回表 内田OUT→西川 友理(東京女子体育大)IN ※ライトの守備に入る
    成田OUT→山口 憲子(園田学園女子大)IN ※投手交代
6回裏 村中OUT→池原  恵(園田学園女子大)IN ※代打
7回表 池原OUT→村中  梢(東北福祉大)IN ※キャッチャーにリエントリー






■予選リーグ戦績表

  日本 アメリカ 台湾 オーストラリア 南アフリカ タイ 順位
日本 ●2−4 ●5−6 ○4−2 ○16ー0 ○10−0 3 2 3
アメリカ ○4−2 ●2−4 ○9−1 ○15−0 ○7−0 4 1 2
台湾 ○6−5 ○4−2 ○3−0 ○14−0 ○15−0 5 0 1
オーストラリア ●2−4 ●1−9 ●0−3 ○19−0 ○17−0 2 3 4
南アフリカ ●0−16 ●0−15 ●0−14 ●0−19 ●3−10 0 5 6
タイ ●0−10 ●0−7 ●0−15 ●0−17 ○10ー3 1 4 5






■大会第5日:7月21日(金) [決勝トーナメント:3位・4位戦]

▲鈴木がヒットエンドランを決め、日本が先制!


▲エース・藤原がオーストラリアを完封


 大会もいよいよクライマックス。今日から決勝トーナメントに突入する。「大学世界一」の座をかけた「最後の決戦」を迎えることになる。
 第1試合では、予選1位の台湾と予選2位のアメリカが対戦。地元の圧倒的な声援に後押しされた台湾の勢いは衰えることなく、優勝候補の大本命・アメリカを攻・守に圧倒。5?1と快勝し、一足先に明日のファイナル進出を決めた。
 敗れたアメリカは敗者復活戦に回り、これから行われる予選3位の日本と予選4位のオーストラリアの対戦の勝者とファイナル進出をかけ、戦うことになった。
 第2試合、日本対オーストラリアの一戦は、日本の先攻ではじまった。日本は果敢に攻撃を仕掛けるが、オーストラリアの先発・ジャスティンに抑え込まれ、5回までわずか1安打。2回表、5回表にスコアリングポジションに走者を進めたが決定打を奪えず、得点を挙げることができなかった。
 一方、日本のエース・藤原も素晴らしいピッチングを見せる。3回まで一人の走者も許さぬパーフェクトピッチング。4回裏に二死一・二塁のピンチがあったが、ここも落ち着いて後続を断ち、両チーム無得点のまま、試合は終盤を迎えた。
 日本は6回表、代打・池原が執念のショート内野安打。常に練習の先頭の立ち、誰よりも声を出してチームを盛り上げる「ムードメーカー」の気迫溢れる一塁へのヘッドスライディングが、日本に試合の流れを呼び寄せた。これを1番・平林が確実に送り、2番・高橋がしぶとく内野安打。一・三塁とチャンスを広げ、さらに盗塁で揺さぶると、サインプレーのミスか、キャッチャーの二塁への送球がピッチャーを直撃。ここまで好投していたジャスティンが投球不能の状態に陥り、交代を余儀なくされるアクシデントが起こった。オーストラリアは急遽マッカランを登板させたが、日本はこのチャンスを逃さず、3番・鈴木がヒットエンドランを決め、1点を先制。続く7回表には、途中出場の5番・西川が敵失で出塁すると、6番・加藤が3打席連続の送りバントをしっかりと決め、一塁走者・西川は一気に三塁へ。これは「オーストラリアはランナー一塁でのバントシフトで三塁手が処理した場合の三塁ベースカバーが徹底されておらず、ガラ空きになるケースがある」と、試合前から狙っていたプレーだった。これで一死三塁とチャンスを広げ、7番・中野が得意のヒットエンドラン。思い切り叩きつけた打球は高いバウンドで二遊間を抜け、決定的な追加点を挙げた。
 オーストラリアも最終回、先頭打者の安打を足掛かりに二死三塁の反撃機をつかんだが、最後の打者が藤原の力投の前に三振に打ち取られ、万事休す。4位が確定し、トーナメントから姿を消した。
 日本はエース・藤原が完璧なピッチングでオーストラリア打線を封じ、チャンスを確実に得点に結びつける理想的な試合展開で快勝。3位以上が確定した。明日はまずアメリカと対戦。予選リーグでは敗れているが、今大会のアメリカはいつものような圧倒的な強さは感じられない。予選リーグで敗れたアメリカ、台湾にリベンジを果たしての逆転優勝。そんな劇的なシナリオが現実味を帯びてきた。



1 2 3 4 5 6 7
日   本 0 0 0 0 0 1 1 2
オーストラリア 0 0 0 0 0 0 0 0
(日)○藤原(7回)−村中(7回)

◇決勝トーナメント3位・4位戦(オーストラリア戦)スターティングラインアップ

1番・レフト平林真由子 (園田学園女子大)
2番・ショート高橋あゆみ (日本体育大)
3番・セカンド鈴木 紅美 (日本体育大)
4番・ファースト小柳  薫 (東京女子体育大)
5番・ライト内田千恵美 (早稲田大)
6番・DP加藤 恵理 (東北福祉大)
7番・サード中野 久美 (東京女子体育大)
8番・キャッチャー村中  梢 (東北福祉大)
9番・センター舟木 千恵 (大阪国際大)
DEFO(ピッチャー)藤原麻起子 (東北福祉大)

※選手交代
6回表舟木OUT→池原  恵(園田学園女子大) IN ※代打
6回裏池原OUT→舟木 千恵(大阪国際大) IN ※センターにリエントリー
 内田OUT→西川 友理(東京女子体育大) IN ※ライトの守備に入る