
日本、カナダにも快勝!
最高の仕上がりで北京へ!! (7月27日/日)
7月27日(日)、前日に引き続き、宮城県仙台市・仙台市民球場で、北京オリンピック壮行試合が行われ、日本はカナダと対戦。前日を超える3550人の大観衆の大声援にも後押しされ、北京オリンピックでメダル争いを演じると見られる「当面のライバル」を相手に、馬渕、佐藤の本塁打を含む10安打を浴びせ、4−0と完勝。オリンピック前、最後の国際試合も勝利で飾り、最高の仕上がりで「オリンピック本番」を迎えることになった。
■7月27日(日)/北京オリンピック壮行試合 II
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計 |
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| 日 本 |
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3 |
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0 |
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x |
4 |
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(カ)●マッキン・マイアー−ラフター
(日)上野・江本・○染谷・坂井−乾
〔本塁打〕馬渕、佐藤(日)
〔二塁打〕馬渕(日)マシューズ(カ)
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| ▲この日はメダル争いの当面のライバル・カナダと対戦 |
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| ▲日本の先発は「世界一の投手」上野 |
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| ▲馬渕、佐藤の連続本塁打でベンチも沸きかえった |
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▲仙台市・奥山恵美子副市長から激励の花束を贈呈され、
「必ずや金メダルを!」と大観衆に決意表明を行う斎藤
ヘッドコーチ。最高の仕上がりを見せ、北京へ乗り込む |
日本の先発は上野。日本が誇る「世界一の投手」は、予定の3イニングを一人の走者も許さぬパーフェクトピッチング。奪三振は1個と上野にしては少なかったものの、1球1球に明確な意図を感じさせる35球でカナダ打線を封じ込み、北京オリンピックへ向け、順調な仕上がりを見せた。
課題の打線も、この日は前日のオランダ戦の「反省」をキッチリと生かし、初回に鮮やかな先制攻撃を見せた。1番・狩野はショートゴロに倒れたものの、2番・西山、3番・山田、4番・馬渕がいずれもセンターに打ち返す3連打。あっさり先取点を挙げると、3回裏には、1番・狩野のセンター前ヒット、犠打、内野ゴロで二死三塁とし、4番・馬渕、5番・佐藤が連続本塁打。この回3点を追加し、4点のリードを奪った。
守っては、上野、江本、染谷、坂井と4人の投手すべてをつぎ込む盤石の投手リレーでカナダ打線に最後まで得点を許さず、完封勝利を収めた。
これで日本は国際試合14連勝。トライネーションズカップの初戦でオーストラリアに敗れたのを最後に「破竹の快進撃」を続けている。しかも、メダル争いの「当面のライバル」カナダに3連勝。試合内容的にも圧倒し、「日本、強し!」の印象を植え付けたことは大きな意味がある。さらには、アメリカ、中国を除く北京オリンピック参加国、オーストラリア、カナダ、ベネズエラ、台湾、オランダを次々と撃破し、すべてに勝利を収めたことも、オリンピックを戦う上で大きなアドバンテージを得たといっても過言ではないだろう。
しかし、これらの勝利が、北京オリンピックでの「金メダル」を保証するものになるかといえば……そこまで楽観できる状況にはなく、「現実」は甘いものではない。
まず「最大のライバル」アメリカの存在がある。この連勝には対アメリカ戦の勝利は含まれていない。「史上最強の王者」アメリカを倒さない限り、金メダルはない。この現実から目を背けるわけにはいかない。
そして、この日勝利したカナダも「3本柱」の一人であるロビン・マッキンはカナダカップ、この壮行試合で攻略したものの、「右のエース」ダニエル・ローリー、日本戦に実績があり、日本が苦手とする左腕のローラン・ベイ・レギュラは直近の国際大会での日本戦の登板はほとんどなく、まだ手の内をすべて見せてしまったわけではない。
4年前、アテネオリンピックでしたたかな戦略を見せ、日本を徹底的にマーク。「打倒・日本」に照準を絞り、その戦略を見事に実践。日本を破って銀メダルを獲得したオーストラリアにも4大会連続のオリンピック出場を果たした「歴戦の勇者」ターニャ・ハーディング、メラニー・ローチが健在。この2人は現在、日本リーグでプレーしているだけに、日本の選手のことは熟知している。それだけに不気味な存在といえよう。
ホスト国・中国も虎視眈々とメダルを狙っている。日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアに比べると、戦力的にはやや劣るものの、「地元の利」ホームゲームの有利さがある。どこの国ともまた違った大声援、独特の雰囲気の中での試合は、決して楽なものにはならないだろう。
もちろん、ベネズエラ、オランダ、台湾も侮れない。これらのチームに星を落とし、「番狂わせ」を起こされるようなことがあれば、それはメダル争いからの「脱落」を意味することになる。
北京の過酷な環境の中、世界の強豪を相手に勝ち続け、「頂点」に立つことは容易なことではなく、悲願の「オリンピック金メダル獲得」までの道のりは、間違いなく、厳しく、険しいものになる。しかし、アテネからの4年間、「この日のために」努力を積み重ねてきたのだ。その道がどんなに厳しく、険しいものであっても、戦い、勝ち抜いていくことでしか、「金メダル」へ辿り着くことはできない。
ここからは「内容」ではなく、「結果」が問われる。どんな試合内容であれ、勝つことができれば、確実に一歩ずつ「金メダル」へ近づくことになる。どれだけ勝つことにこだわり、どこまで勝利に執着することができるか、それが問われることになる。逆に、どんなにすばらしい試合を展開しても、負けてしまえばそれまでである。
人々の記憶に残るのは「金メダリスト」だけである。「伝説」は「金メダル」からしか生まれない。ソフトボールの未来のために、オリンピック競技復帰のために……北京での「勝利」すなわち「金メダル」が必要である。「夢」をつないでいくために……勝つしかない!
●北京オリンピック壮行試合 II カナダ戦スターティングラインアップ
1番・ライト 狩野亜由美(豊田自動織機)
2番・ショート 西山 麗(日立ソフトウェア)
3番・センター 山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・レフト 馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・ファースト 佐藤 理恵(レオパレス21)
6番・サード 廣瀬 芽(太陽誘電)
7番・DP 伊藤 幸子(トヨタ自動車)
8番・キャッチャー 峰 幸代(ルネサス高崎)
9番・セカンド 藤本 索子(レオパレス21)
DEFO/ピッチャー 上野由岐子(ルネサス高崎)
※選手交代
4回表 上野OUT→江本 奈穂(豊田自動織機)IN ※投手交代
〃 DPの伊藤がファーストの守備に入り、ファースト・佐藤が打撃のみを行う。
5回表 江本OUT→染谷 美佳(デンソー)IN ※投手交代
7回表 染谷OUT→坂井 寛子(太陽誘電)IN ※投手交代

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